生命保険(死亡保険)

生命保険は複数加入できる?良い点や注意点を詳しく解説

結婚を機に生命保険を見直す際、「今の保険を残したまま、新しく別の保険にも入れるのだろうか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。生命保険は複数の商品に加入できます。

複数の保険を組み合わせることで、万が一の際の備えをより手厚くできたり、異なるリスクに対応できたりするといった良い点があります。一方で、月々の支払い負担が増えたり、保障内容が重複して無駄が生じたりする可能性も考慮しなければなりません。

本記事では、複数加入の仕組みや良い点・注意点、見直しのタイミングについて解説します。

生命保険は複数加入できる

生命保険には、一人が複数の契約を結ぶことについて、制度上の制限はありません。加入時の告知(健康状態や職業など)において保険会社の定める基準を満たしていれば、複数の商品に加入でき、万が一の際にそれぞれの契約から保険金や給付金を受け取れます。

ただし、商品や保険会社によっては通算制限(加入限度)が設けられていることがあります。

また、医療保険などでは1入院あたりの支払限度日数や通算支払限度日数が契約ごとに設定されていることが一般的です。そのため、保障を厚くしたつもりでも、受取額が単純に合算した金額にならないケースがある点に注意が必要です。

一世帯あたりの平均加入件数は約3.8件

公益財団法人 生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、一世帯あたりの生命保険(個人年金保険を含む)の平均加入件数は約3.8件です。

世帯主の年齢別に詳しく見ると、35歳〜59歳までの各年齢層や65〜69歳の層では平均加入件数が4件以上となっており、働き盛りからリタイア前後にかけて、より手厚い備えを確保している世帯が多い傾向にあります。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」

気を付けたい「通算制限」

複数加入は可能ですが、契約に際しては「通算制限(加入限度)」に注意が必要です。

これは、過度な保障設定を防ぎ、犯罪防止や加入者間の公平性を守る目的で、他社契約を含めた保障合計額が本人の年収や職業などに見合っているかを確認する、保険会社の引受判断(審査)の一環です。

加入申込時の審査において、他社での契約状況を含めた保障水準が考慮されるため、内容によっては希望どおりの保険金額で契約できない可能性がある点に留意しましょう。

生命保険に複数加入する良い点

生命保険に複数加入する良い点として、保障の厚みと幅の両方を確保しやすくなる点が挙げられます。

ライフステージや家族構成の変化に合わせて、必要な保障をピンポイントで追加したり、異なる強みを持つ保険商品を組み合わせたりすることで、より柔軟なリスク管理が可能になるでしょう。

個々のニーズに沿った備えができる

生命保険は、各社の商品によって「がん保障に強い」「介護保障が充実している」など、得意とする分野が異なります。複数の保険を組み合わせることで、ご自身のライフスタイルや家族構成、将来の不安に合わせたオーダーメイドの備えを整えやすくなります。

税負担を軽減できる可能性がある

生命保険料を支払った際、一定の金額が所得から控除される「生命保険料控除」という制度があります。この制度には、保障内容に応じた以下の3つの区分が設けられています。

  • 一般生命保険料控除(死亡保険など)
  • 介護医療保険料控除(医療保険、がん保険など)
  • 個人年金保険料控除(個人年金保険など)

2012年1月1日以後に契約した生命保険は、新生命保険料控除制度の対象となり、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3区分に分かれています。なお、2011年12月31日以前に契約した保険については、旧制度が適用される場合があります。

複数の区分に該当する保険に加入している場合、それぞれの枠で控除を受けられるため、1つの枠のみを利用する場合と比べて所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、控除額には各枠および全体で一定の上限がある点に注意しましょう。

参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」

保険金・給付金の受け取りを分散できる

複数の保険会社の商品に加入すると、万が一の際、数社から保険金や給付金を受け取れます。

これは、各社の事務手続きの進捗による支払い時期の差を分散できるだけでなく、特定の保険会社に保障を集中させないことで、経営状況の変化による影響を一定程度分散できるというリスク管理の側面もあります。

ただし、商品によっては引受限度や支払限度日数、通算支払限度日数が設定されており、保障を重ねても給付金が無制限に増えるわけではない点には注意が必要です。

生命保険に複数加入する注意点

複数の保険に加入することで保障を充実させられる反面、家計や管理面の負担が大きくなる可能性があります。各保険の契約内容を正確に把握していないと、保障内容が重複し、必要以上の保険料を支払い続けることにもなりかねません。

良い点だけでなく、維持・管理の手間やリスクを理解したうえで、慎重に検討することが大切です。

保険料の負担が大きくなりやすい

契約件数が増えるほど、毎月の保険料の合計額は増加する傾向にあります。

特に各保険の「主契約」が重複する場合、それぞれの契約を維持・管理するコストや事務手数料なども二重・三重に負担することになるため、1つの保険に特約を付加してまとめる場合に比べて、割高になる可能性があります。

保険を管理する手間が増える

保険会社ごとに保険証券の管理や、住所変更・受取人変更などの手続きを行う必要があります。また、入院や手術をした際、加入している各保険会社へ連絡し、それぞれに請求書類を提出する必要があるため、事務的な手続きの負担が増える傾向があります。

保障に無駄が生まれやすい

以前から加入していた保険と新しく加入する保険の内容を詳細に比較していないと、保障が重複しやすくなります。保障内容が過剰になると、結果として保険料負担が大きくなりかねません。

複数の医療保険に加入している場合、契約ごとに設定されている支払限度日数や通算支払限度日数の影響により、保障を厚くしたつもりでもすべての入院日数分が給付対象にならないケースがあります。

また、先進医療特約などは、実際の費用を上限に給付される仕組みが一般的であり、複数加入していても受け取れる額が増えないケースも少なくありません。

さらに、所得控除を受けられる生命保険料控除には、区分ごとに適用される上限額が決められています。

2012年1月1日以後に契約した保険は新生命保険料控除制度の対象となり、所得税では、各区分の控除額は最大4万円、合計で最大12万円が上限です。2011年12月31日以前に契約した保険については、旧制度が適用され、控除額の上限が異なります。

そのため、保険料の支払額を増やしても、節税効果が比例して大きくなるわけではない点に注意が必要です。

複数加入できる生命保険の主な種類

一口に生命保険といっても、その種類は多岐にわたります。複数加入の良い点を最大限に引き出すためには、それぞれの保険が持つ役割の違いを正しく理解したうえで、不足している保障を補うように加入商品を検討することが大切です。

ここでは、複数加入を検討する際に知っておきたい、生命保険の主な種類とそれぞれの特徴について解説します。

死亡保険

死亡保険は、被保険者が亡くなったときや、約款で定められた所定の高度障害状態に該当したときに保険金が支払われる保険です。一般的に、遺された家族の生活費や子どもの教育資金、自身の葬儀費用の準備などを目的として活用されます。

代表的なタイプには以下のようなものがあります。

  • 定期保険:一定期間を保障
  • 終身保険:一生涯保障が続く
  • 収入保障保険:保険金を年金形式で受け取る

それぞれのタイプによって、保障期間の長さや保険金の受け取り形式が異なるため、いつまでに、どの程度の資金が必要かを整理して選ぶことが重要です。

医療保険

医療保険は、病気やケガによる入院や手術、通院などの医療費負担に備えるための保険です。公的医療保険制度(高額療養費制度など)ではカバーしきれない、差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料などの自己負担分を補う役割を担います。

特定の疾患に手厚く備えるタイプもあり、なかでもがんに特化した保障内容を持つ医療保険は一般的に「がん保険」と呼ばれます。

複数の医療保険を組み合わせる際は、それぞれの保険で設定されている日帰り入院の定義や、手術給付金の対象範囲が重なりすぎていないか、あるいは漏れがないかを確認することが重要です。

介護保険

介護保険は、被保険者が所定の介護状態になった際に、一時金や年金形式で給付金を受け取れる民間の保険です。

主な支払条件には、自治体が判定する「公的介護保険制度」の要支援・要介護区分に連動して設定されているものと、保険会社が独自に定める認定基準(日常生活動作の制限など)に基づいたものがあります。

将来、家族に介護の負担をかけたくない場合や、介護サービスの自己負担分を補てんしたい場合に選択肢の一つとなるでしょう。複数加入を検討する際は、それぞれの保険がどのタイミングで、どのような条件で給付されるのかを比較し、公的保障とのバランスを踏まえて考える必要があります。

生存保険

生存保険は、被保険者が保険期間の満了時や特定の時期まで生存していた場合に、給付金や保険金を受け取れる保険です。以下が代表的な生存保険です。

  • 個人年金保険:老後資金の準備を目的とする
  • 学資保険:子どもの進学資金を準備する

万が一の保障という側面よりも貯蓄性が重視される傾向にあり、将来必要となるまとまった資金を計画的に準備できる点が特徴の一つとされています。

資産形成の手段の一つとして検討されることも多いですが、途中解約をした場合には解約返戻金が払込保険料を下回るリスクがある点には十分な注意が必要です。

「結婚した今の自分には、どの種類の保険が合ってる?」「死亡保障と医療保障、それぞれの適正な金額が知りたい」と迷ったら、相談窓口を利用しながら検討することもできます。

加入中の複数の保険を見直すタイミング

生命保険は、一度加入すればそれで十分というわけではありません。ライフステージの変化にともない、必要となる保障の優先順位や金額は刻々と変化していきます。

特に複数の保険に加入している場合、定期的な棚卸しを行わないと、今の自分には不要な保障に保険料を払い続けてしまうリスクがあります。適切な見直しのタイミングを把握し、現在の生活状況に合った保障内容を維持することが大切です。

ライフスタイルが変化したとき

就職、結婚、出産、住宅購入、転職などは、人生において必要保障額が大きく変動するタイミングです。例えば、結婚したばかりの方なら、独身時代に加入した保険の受取人を配偶者に変更したり、将来の子どもの誕生を見据えて死亡保障を増額したりする必要性が生じることもあります。

また、住宅ローンを組んで団体信用生命保険(団信)に加入した場合は、既存の死亡保障と役割が重複するため、保障額を見直すことで保険料を抑えられる可能性があります。

環境が変わるたびに「今の自分にこの保障は必要か」と問い直すことが重要です。

保険料の負担が大きくなったとき

日々の生活費や教育資金の準備など、家計全体の収支バランスを考えたときに保険料が重荷に感じられるようになったら、それは見直しを検討する一つの目安となります。複数の保険を契約していると、一つひとつの保険料は少額でも、合計するとかなりの金額になっているケースが少なくありません。

保障内容を精査し、役割が重複している特約を外したり、掛け捨て型の比較的保険料が抑えられる商品へ一部を切り替えたりすることで、保障水準を大きく下げることなく月々の固定費を削減できる可能性があります。家計を圧迫しない範囲で、無理のない保険の見直しを行うことが大切です。

契約更新日が近付いているとき

更新型の保険は、更新を迎えるたびにその時点の年齢で保険料が再計算されるため、一般的に更新前よりも保険料が上がります。更新案内が届いたタイミングは、他社の商品も含めて比較検討する一つの機会です。

医療技術の進歩にともない、保険商品も日々進化しています。古い保険と比べて「より短い入院でも手厚い給付が受けられる」「特定の疾病への保障範囲が広い」といった新しい商品が提供されていることもあります。

更新を機に、今の自分に合った契約を選び直しましょう。

生命保険に複数加入する際に気を付けたいポイント

複数の生命保険を組み合わせる際は、単に契約を増やすのではなく、全体としてバランスの取れた保障設計になるよう意識することが大切です。

特定の保険に偏ったり、不必要な重複が生じたりするのを防ぐため、加入を検討する際や見直しの際に確認しておきたい3つのポイントを解説します。

加入目的を明確にする

各保険をどのようなリスクに備えるために契約するのか、目的を明確に整理することが重要です。

例えば、生命保険の加入目的には以下のようなものがあります。

  • 生活費の補てん
  • 葬儀費用の準備
  • 先進医療への備え など

具体的な使途を想定しておくことで、必要な保障額を過不足なく算出する指標となります。

目的が曖昧なまま加入を重ねてしまうと、万が一の際に「給付金を受け取ったものの、本来必要だった費用には足りなかった」あるいは「過剰な保障に対して高い保険料を払い続けていた」という状況を招きかねません。

保障内容の重複に気を付ける

複数の保険に加入する際、特に医療保険の特約や死亡保険の保障範囲などは、意識していないと内容が重なってしまうことがあります。

複数の契約で同じ保障を確保している場合、支払う保険料もその分増える傾向にありますが、一部の特約(先進医療特約など)のように、実際の費用を超えて給付されない仕組みのものもあります。

現在の加入状況を一覧に整理し、主契約だけでなく特約に至るまで保障が重なっていないか、また特定の病気に対する備えが過剰になっていないかを客観的に精査することが、効率的な備えを維持するポイントです。

ケースに応じて保険のプロに相談する

自分一人の判断で、各保険会社の異なる商品を詳細に比較し、自分に合った保険を選ぶことは、時間と労力を要する作業です。

保険のプロであるファイナンシャルプランナーなどは、専門的な知識に基づき、複数の保険を組み合わせた場合の合計保障額や、家計への影響を中立的な視点で分析します。

自身の判断に迷いが生じた場合や、より客観的なデータに基づいて検討したい場合には、専門家によるシミュレーションを活用することも、納得感のある選択をするための一つの手段です。

生命保険の基礎をおさえ複数加入の良い点をいかそう

生命保険に複数加入することには、異なるリスクに柔軟に対応できることや、税制上の優遇措置を効率よく活用できるといった良い点があります。一方で、管理の手間や保険料負担の増加、保障の重複といった、複数加入ならではの注意点も存在します。

大切なのは、良い点と注意点の両面を理解したうえで、ご自身の生活環境や将来の目標に照らし合わせ、過不足のない備えを整えることです。

ライフステージの変化に合わせて、定期的に今の自分に合った保障内容や保険の組み合わせを見直すことが、無駄のない合理的なリスク管理につながるでしょう。

もし、ご自身だけで複数の保険を整理し、将来を見据えたプランを立てるのが難しいと感じる場合には、相談サービスの利用も選択肢の一つです。

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