【50代の介護保険】知っておきたい必要性と選び方

50代は、老後や介護を現実的に考え始める時期とされており、備えについて検討する方も増える年代です。50代における民間介護保険の必要性は、一律で判断することはできません。必ずしも必要とは限りませんが、状況によっては検討する余地がある場合もあります。
特に単身世帯や貯蓄に不安がある場合などは、将来の介護費用に備える手段の一つとして民間介護保険が検討されることがあります。
本記事では、50代の民間介護保険の必要性や選び方のポイント、検討したいケースについて解説します。
50代における民間介護保険の必要性

50代は、親の介護が現実的な問題として意識され始めると同時に、自身の老後や介護についても考え始める時期といえます。介護について具体的に考えたとき、公的介護保険制度はあるものの、費用面やサービス内容に対する不安を感じることもあるかもしれません。
ここでは、公益財団法人 生命保険文化センターの調査データをもとに、50代における介護に対する意識や備えの状況を解説します。
自身の介護に対する不安の有無について
50代では、男女ともに自身の介護に対して不安を抱えている方が大多数を占めています。以下の表は、50代の自身の介護に対する不安の有無についてまとめたものです。
不安の有無 | 50代男性 | 50代女性 |
不安感がある | 91.4%(計) ・非常に不安を感じる:32.8% ・不安を感じる:35.0% ・少し不安を感じる:23.6% | 95.1%(計) ・非常に不安を感じる:43.1% ・不安を感じる:30.0% ・少し不安を感じる:22.0% |
不安感なし | 6.7% | 3.5% |
わからない | 2.0% | 1.4% |
この結果から、50代では男女ともに9割以上が介護に対して何らかの不安を抱えていることがわかります。特に女性では「非常に不安」とする割合が4割を超えており、男性と比較すると介護に関する不安の度合いが高い傾向が見られます。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
自身の介護に関する不安の内容について
自身の介護に関する不安の内容を見ると、50代では「公的介護保険だけでは不十分」と感じている割合が高く、制度だけでは備えきれないという認識が広がっている状況がうかがえます。
以下の表は、自身の介護に対する不安の内容として挙げられている項目をまとめたものです。
不安の内容 | 50代男性 | 50代女性 |
家族の肉体的・精神的負担 | 52.6% | 70.3% |
公的介護保険だけでは不十分 | 59.3% | 66.1% |
家族の経済的負担 | 49.1% | 57.5% |
介護サービス費用がわからない | 47.4% | 50.9% |
家族の時間を拘束する | 41.5% | 47.3% |
自助努力による準備が不足する | 43.9% | 45.1% |
介護がいつまで続くのかわからない | 29.9% | 44.2% |
適切な介護サービスが受けられるかわからない | 31.8% | 42.3% |
希望の介護施設に入れない | 22.4% | 32.3% |
介護してくれる家族がいない | 23.5% | 22.1% |
自宅に介護する場所がない | 14.3% | 12.8% |
その他 | 0.8% | 0.4% |
わからない | 0.3% | 0.4% |
※複数回答可
不安の内容には、顕著な男女差があることがわかります。男性において最も割合が多いのは「公的介護保険だけでは不十分」という経済的な備えについての不安が中心となっています。一方、女性では「家族の肉体的・精神的負担」が最も高く、家族への影響も含めて広い視点で不安を捉えている傾向が見られます。
また、女性は「公的介護保険だけでは不十分」やそのほかの項目においても全体的に男性よりも高い数値を示しており、介護に対する危機意識が強い傾向があると読み取れるでしょう。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
公的介護保険に対する考え方について
公的介護保険に対する認識を見ると、50代では公的制度だけで十分に賄えるとは考えていない方が大多数を占めています。
賄えると思うか否か | 50代男性 | 50代女性 |
賄えるとは思わない | 81.8%(計) ・あまりそうは思わない:41.6% ・まったくそうは思わない:40.1% | 87.3%(計) ・あまりそうは思わない:36.3% ・まったくそうは思わない:51.0% |
賄えると思う | 13.3% | 8.9% |
わからない | 4.9% | 3.8% |
50代では男女ともに8割以上が「公的介護保険だけでは賄えない」と認識していることがわかります。特に女性では「まったくそうは思わない」が5割を超えており、制度に対する不安が強い傾向が見られます。
一方で「賄えると思う」とする割合は男性で1割台、女性では1割未満にとどまっており、公的制度のみで対応することに対して慎重な見方が広がっていることがうかがえます。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
介護保障に対する私的準備について
50代では、介護に備えて何らかの私的準備を行っている方が一定数見られます。
準備の有無 | 50代男性 | 50代女性 |
準備している | 58.4%(計) ・生命保険:34.2% ・損害保険:11.3% ・預貯金:40.4% ・有価証券:11.6% | 58.9%(計) ・生命保険:31.6% ・損害保険:8.3% ・預貯金:42.2% ・有価証券:8.0% |
準備していない | 37.7% | 38.7% |
わからない | 3.9% | 2.4% |
男女ともに6割弱が何らかの準備を行っている一方で、約4割は未準備のままであることがわかります。
準備手段としては、男女ともに「預貯金」と「生命保険」の割合が高く、まずは現金資産で備えつつ、保険で補完する形が一般的といえるでしょう。一方で、有価証券や損害保険を活用するケースも一定数見られます。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
介護保障に対する今後の準備意向について
50代では、介護に備えたいという意向自体は高いものの、すぐに行動に移す層は限定的であることがうかがえる結果となっています。
準備意向の有無 | 50代男性 | 50代女性 |
準備意向あり | 82.0%(計) ・すぐにでも準備:4.2% ・数年以内には準備:16.0% ・いずれは準備:61.8% | 82.3%(計) ・すぐにでも準備:6.1% ・数年以内には準備:12.3% ・いずれは準備:63.9% |
準備意向なし | 13.8% | 13.7% |
わからない | 4.2% | 4.0% |
50代では男女ともに8割以上が介護に対する備えの必要性を感じていることがわかりますが、その一方で「すぐにでも準備」とする割合は男性4.2%、女性6.1%にとどまり、「いずれは準備」と考えている層が6割以上を占めています。
介護における準備の必要性は感じているものの、50代においては具体的な行動に移すタイミングはまだ少し先と考えるケースが多いといえるでしょう。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
親などを介護する場合の不安について
親などを介護する場面を想定した場合、50代では自身の負担に関する不安が大きい傾向が見られます。
不安の内容 | 50代男性 | 50代女性 |
自分の肉体的・精神的負担 | 61.2% | 74.6% |
自分の時間が拘束される | 58.8% | 61.8% |
自分の経済的負担 | 55.2% | 51.1% |
介護サービスの費用がわからない | 52.5% | 49.3% |
公的介護保険だけでは不十分 | 57.3% | 52.1% |
介護がいつまで続くかわからない | 39.1% | 53.6% |
介護の人手が不足する | 46.3% | 43.8% |
適切な介護サービスが利用できるかわからない | 34.6% | 41.9% |
希望の介護施設に入れられない | 31.0% | 36.6% |
自宅に介護する場所がない | 17.0% | 17.0% |
その他 | 0.9% | 0.2% |
わからない | 0.6% | 0.4% |
※複数回答可
性別を問わず「自分の肉体的・精神的負担」が最も高く、特に女性では7割を超えています。また、「自分の時間が拘束される」も男女ともに6割前後となっており、自身にかかる負担の大きさを懸念している傾向がうかがえるでしょう。
一方で、「経済的負担」や「公的介護保険だけでは不十分」といった金銭面や制度面の不安も、決して小さい数値ではありません。この結果からは、介護は身体的・時間的・経済的といった複数の側面で負担が発生するものとして認識されていることが読み取れます。
こうしたデータは、すべての世帯に当てはまるものではありませんが、一つの参考にはなります。一般的な考え方を踏まえたうえで自身に合った介護保険について考えたい場合は、保険に関する中立的な相談サービスを利用する方法もあります。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
50代の民間介護保険の加入率

50代の介護保険・介護特約の加入率を見ると、一定数の加入は見られるものの、全体として高い水準とはいえません。年代別・男女別の民間介護保険の加入率は、次のとおりです。
年代 | 男性(全生保) | 女性(全生保) |
20代 | 4.4% | 4.8% |
30代 | 8.9% | 10.6% |
40代 | 15.4% | 9.4% |
50代 | 14.8% | 14.9% |
60代 | 11.9% | 11.1% |
70代 | 8.0% | 6.7% |
女性は調査対象の年代の中で50代が最も加入率が高くなっています。男性において最も高い年代は40代ではありますが、50代の加入率はそれに次ぐ数値です。
ただし、加入率は多い世代であっても1割台にとどまっており、これまで見てきた介護への不安や準備意向の高さと比べると差がある状況といえるでしょう。
介護保険の必要性は、預貯金や世帯構成などによっても変わってきます。加入が必要かどうか悩む場合は、中立的な相談サービスを通して専門家の意見を参考にするのも方法の一つです。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
50代における民間介護保険の選び方のポイント

50代で民間介護保険を検討する場合、保障期間や給付方法、給付条件など、複数の観点から内容を確認することが重要です。介護は発生時期や期間、必要となる費用に個人差が大きいため、自身の状況や備えたいリスクに応じて選択する必要があります。
ここでは、50代で介護保険を選ぶ際に確認しておきたい主なポイントについて解説します。
終身型か定期型か
民間介護保険には、保障が一生涯続く終身型と、一定期間に限定される定期型があります。
終身型は、一生涯にわたって介護保障が続く代わりに保険料が高くなりやすい傾向にあります。ただし、長寿化が進む中で高齢期の介護リスクに備えやすい設計といえるでしょう。
定期型は、一定期間のみ保障を確保するタイプで、終身型と比べて保険料負担を抑えやすい点が特徴の一つとされています。ただし、更新時には年齢上昇に伴って保険料が上がることがあるほか、更新が難しくなる場合もあります。また、健康状態によっては新規加入が難しくなるケースがある点は、50代にとって注意したいポイントの一つです。
貯蓄型か掛け捨てか
貯蓄型は、保険料が高めに設定される傾向がある一方で、中途解約時に一定の返戻金を受け取れる仕組みを持つタイプです。介護保障とあわせて老後資金の一部を準備する手段として活用されることもあります。
一方、掛け捨て型は返戻金がない代わりに保険料を抑えやすく、限られた家計の中で介護リスクへの備えを優先したい場合に検討されることがあります。すでに十分な貯蓄がある場合や、保障を効率的に確保したい場合に選択肢となるでしょう。
一時金タイプか年金タイプか
給付金の受け取り方法には、要介護状態になったときにまとまった一時金を受け取るタイプと、一定期間または終身で年金形式の給付を受けるタイプがあります。
住宅改修や高額な初期費用に備えたい場合には一時金タイプ、毎月の介護サービス利用料や介護にともなう生活費の増加をカバーしたい場合には年金タイプなど、想定する費用の使途に応じて選択することが重要です。
給付条件は公的介護保険連動型か独自型か
民間介護保険の給付条件は、公的介護保険の要介護認定と連動するタイプと、保険会社が独自に定める基準で判断するタイプがあり、商品ごとに異なります。
商品によっては要介護認定を受けても給付対象にならないケースもあるため、契約前に給付条件を十分に確認しておくことが大切です。
商品ごとに異なる内容や条件を把握するのが難しい場合は、中立的な相談窓口を通して専門家のサポートを受けることも選択肢の一つとなるでしょう。
50代で民間介護保険への加入を検討したいケース

50代で民間介護保険の加入を検討したいケースとしては、以下が挙げられます。
- 収入・預貯金に不安がある
- 親の介護費用の負担が発生する可能性がある
- 家族からの支援が期待できない
それぞれ、詳しく解説します。
収入・預貯金に不安がある
老後資金や介護費用に充てられる貯蓄が十分でない場合、将来要介護状態となったときの自己負担分を年金や貯蓄だけで賄うことが難しくなるため、保険による補完の必要性が高まるといえるでしょう。
特に50代で住宅ローンや教育費などの支出が続いている世帯では、まとまった介護費用を確保しにくい場合もあります。そういった場合、一定額の給付が見込める民間介護保険がリスクヘッジの役割を果たす可能性があります。
親の介護費用の負担が発生する可能性がある
50代は、親の介護が現実的な課題として生じやすい時期です。場合によっては、親の介護費用を一部負担することで家計に影響が出るケースも考えられます。
さらに自分自身の介護費用も将来発生する可能性を考えると、「自分の介護リスクに対してあらかじめ民間介護保険や貯蓄で備えておく」という方法もあります。
家族からの支援が期待できない
単身世帯や子どもがいない夫婦世帯、遠方に家族が暮らしているケースなどでは、将来の介護を家族のサポートに頼りにくく、在宅サービスや施設介護への依存度が高くなる傾向があります。
このような場合、公的介護保険の自己負担分や保険外サービスを利用する頻度が増えやすく、費用負担が大きくなる場合もあります。そういったケースでは、民間介護保険による現金給付を確保しておくことが生活の安定につながる可能性があります。
自身のケースで加入が必要なのかどうか悩む場合は、中立的な相談窓口を利用する方法もあります。
50代から介護を含む老後準備を始めよう

50代では、介護に対する不安を抱えている方が多い一方で、実際に民間介護保険へ加入している割合は1割台にとどまっています。また、備えの必要性を感じていても「いずれは準備」と考えている層が多く、行動に移るタイミングは後ろ倒しになりやすい傾向が見られます。
介護にかかる費用や期間は個人差が大きく、公的介護保険だけで十分に対応できるかどうかは一概にはいえません。預貯金や保険など、複数の手段を組み合わせて備えるという考え方もあります。
介護保険の選び方や保障内容は商品ごとに異なるため、仕組みや条件を確認したうえで検討を進めることが大切です。必要に応じて、中立的な相談窓口などで情報を整理し、比較検討する方法もあります。






