30代にがん保険は必要?男性・女性別の選び方も紹介

20代のがん保険・がん特約の加入率は約2割ですが、30代になると4割超に増加します。30代では、20代と比べてがん保険への加入を検討する方も増える傾向にあります。
本記事では、がん保険の必要性や選び方について解説します。また、男性・女性がそれぞれがん保険を選ぶ際に注目したいポイントも紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
30代にがん保険は必要?

がん保険は、がんの診断が確定した場合やがん治療のために入院や手術などをした場合に給付金が支払われる保険です。がん保険は任意加入のため、必要性を感じない方は加入しないことも選択肢の一つです。
実際のところ、30代にがん保険は必要なのでしょうか。加入率や罹患率などのデータから見ていきましょう。
がん保険・がん特約の加入率
生命保険文化センターが実施した「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によれば、30歳代のがん保険・がん特約の加入率は男性40.9%、女性43.6%です。男女ともに20歳代よりも2倍以上加入率が高いことから、30歳代で加入する方も多いと考えられます。
【年代別がん保険・がん特約の加入率(2025年)】
年代 | 男性 | 女性 |
20歳代 | 18.2% | 20.0% |
30歳代 | 40.9% | 43.6% |
40歳代 | 45.2% | 47.3% |
50歳代 | 50.2% | 48.1% |
60歳代 | 41.3% | 41.6% |
70歳代 | 30.7% | 34.9% |
がん保険やがん特約の加入率は、年代が高くなるほど上昇し、50歳代では男女ともに約半数が加入していることがわかります。しかし、60歳代になると加入率は減少し、70歳代になると約3割にまで低下します。
なお、60歳代以降にがん保険・がん特約の加入率が低下する要因としては、次の事柄が挙げられるでしょう。
- 退職金や預貯金が十分にあり、がん罹患時の治療費・生活費に不安がない
- 定年退職などの理由で収入が減り、月々の支出を減らしたい
がん保険やがん特約は、がんに罹患したときの治療費や生活費に備える保険です。十分な貯蓄を築いた場合、あるいは退職金などでまとまった収入を得た場合などには、必要性が低い場合もあります。
月々の保険料が負担に感じる場合も、がん保険やがん特約の継続は難しくなるでしょう。定年退職や働き方の変化により収入が減ったときは、保険を含め支出の見直しが重要です。
参考:生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
がんの罹患率
がん研究振興財団の「がんの統計 2025」によれば、39歳までにがんに罹患する割合は、男性は1.2%、女性は2.2%です。30代でがんにかかる方もいますが、40代以降と比べると罹患リスクは相対的に低い傾向があります。
年齢階級別がんの累計罹患リスク(2020年)
年齢 | 男性 | 女性 |
39歳以下 | 1.2% | 2.2% |
49歳以下 | 2.7% | 6.0% |
59歳以下 | 7.2% | 11.8% |
69歳以下 | 19.8% | 20.1% |
79歳以下 | 40.5% | 31.5% |
生涯 | 62.1% | 48.9% |
がんは決して珍しい病気ではありません。男性の62.1%、女性の48.9%が生涯に一度以上がんに罹患すると推計されています。
しかし、実際にがん罹患者が増えるのは50代、60代と年齢を重ねてからです。そのため、がん保険やがん特約を検討している方の中には、「30代で加入するのはまだ早い」「もう少し年齢を重ねてからがん保険を契約しよう」と加入を先送りにしている方もいるでしょう。
【30代男性】がん保険の選び方

男性は女性と比べ、生涯におけるがん罹患率が高い傾向にあるため、がんに対する備えの必要性も高いと感じる方もいるでしょう。がん保険に加入する際には、次のポイントに注目して保障内容や保険金額などを検討することが重要です。
- 収入減に備えられるか
- 払込免除特約があるか
- 更新後の保険料はどの程度か
それぞれのポイントについて解説します。
参考:国立がん研究センター「最新がん統計」2026年3月31日閲覧
収入減に備えられるか
がん保険は、がんと診断された場合や、所定の治療を受けた場合などに給付金が支払われる保険です。給付金の使い道は特に指定されないため、治療関連の費用だけでなく、生活費としても活用できます。
がんは治療が長期にわたることがあり、働けない期間が長くなることもあるでしょう。有給休暇の日数を超えて仕事を休む場合は、収入減につながることもあります。
30代の男性の中には、世帯収入の大半を担っている方もいるでしょう。がん保険やがん特約のある医療保険に加入することで、世帯収入の減少に備える方法も検討できます。収入減に備えるためにも、がん保険は次の2つの給付金に注目しましょう。
- 通院給付金
- 診断給付金
近年は入院をせずに通院でがん治療を受けるケースもあるため、がん保険に加入する際には通院保障の内容や給付条件を確認しておくことが必要です。
また、診断給付金を受け取れるタイプのがん保険であれば、がんと診断確定された場合にまとまった給付金を受け取れるため、通院治療にかかる費用や収入減に備えやすくなります。通院保障が充実していないがん保険に加入する場合は、診断給付金の金額や給付回数にも注目してみましょう。
なお、がんなどの病気で休業した場合は、加入している公的健康保険から「傷病手当金」を受け取れることがあります。給付額は普段の給与よりも少なくなる場合がありますが、通算1年6ヶ月間までは受給できるため、生活費を支える原資として活用できるでしょう。
【傷病手当金】 以下のすべての条件を満たす場合に給付金が支払われる制度。
給付金は、加入している公的健康保険から支払われる。なお、受給期間は、支給開始日より通算1年6ヶ月。 |
しかし、フリーランスや自営業者などの方が加入している国民健康保険には傷病手当金制度がないため、原則として療養のために働けない期間に公的な手当は受けられません。そのため、国民健康保険被保険者は休業中の収入が著しく減少する可能性があります。
生活費が不足した場合に備えるためにも、がん保険への加入が選択肢の一つとして検討される場合があります。
参考:協会けんぽ「傷病手当金」
払込免除特約があるか
30代の男性の中には、住宅ローンや教育費などの固定費負担が大きく、十分な貯蓄ができていない方もいるでしょう。
固定費の負担が大きい場合、入院や手術などで急な支出が発生した際に、家計への影響が大きくなる可能性があります。預貯金に不安がある方は、がん保険を選ぶ際に、払込免除特約の有無や適用条件を確認しておくことが大切です。
【払込免除特約】 保険会社が定める所定の状態に該当した場合に、以後の保険料の払込が免除され、その後も保障は継続して受けられる特約。がん保険の場合なら、がんと診断確定されたときに特約が適用されることがある。ただし、免除の条件は保険会社によって異なるため、あらかじめ確認しておくことが必要。 |
がん治療が始まると治療費や通院費などが増えるだけでなく、収入が減る可能性もあります。保険料の負担を軽減できるよう、払込免除特約の有無を確認しておきましょう。
更新後の保険料はどの程度か
がん保険の保険料は、年齢や性別、被保険者の健康状態などによって決まります。30代でがん保険に加入すれば、40代以降に加入するケースと比べて、月々の保険料負担を抑えられる場合があります。
しかし、がん保険には「終身型」と「定期型」があり、契約更新のタイミングで年齢などをもとに保険料が見直されることがあります。加入時は負担しやすい金額でも、40代、50代と年齢を重ねるにつれて保険料負担が大きくなり、契約の継続が難しくなる可能性もあります。
保険の種類 | 特徴 |
終身型 |
|
定期型 |
|
定期型のがん保険に加入する場合は、将来の更新後の保険料や更新条件をチェックし、継続しやすいか確認しておくことが必要です。また、契約更新の条件も確認しておくと、高齢になったときや健康状態に問題が生じた場合に慌てずに対応できるでしょう。
終身型と定期型のどちらを選ぶか迷った場合は、中立的な相談機関に相談する方法もあります。
【30代女性】がん保険の選び方

女性の生涯がん罹患率は男性よりは低い傾向があるものの、50.8%(2021年)と約2人に1人は一生の間に1回以上がんと診断される可能性があります。
また、若い年代では、乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんに注意が必要となるケースもあります。そのため、30代のうちから、将来の治療や生活への影響をふまえて、備えを検討する方もいます。
30代女性ががん保険を検討する際は、次の3つのポイントを確認すると、ご自身に合う保障内容を整理しやすくなります。
- 女性特有のがんに備えられるか
- 乳房再建給付金があるか
- 診断給付金は複数回受け取れるか
各ポイントを解説します。
女性特有のがんに備えられるか
がんに罹患しやすい部位は性別によって異なります。厚生労働省の「令和5年 全国がん登録 罹患数・率 報告」によると、男性のがん罹患者数が多い部位の第1位は前立腺ですが、女性は乳房でした。
【がん罹患者数の多い部位(2023年)】
男性 | 女性 | |
1位 | 前立腺 102,094人 | 乳房 102,592人 |
2位 | 大腸(結腸・直腸) 85,208人 | 大腸(結腸・直腸) 68,830人 |
3位 | 肺 81,381人 | 肺 42,607人 |
4位 | 胃 71,135人 | 胃 33,729人 |
5位 | 膵臓 23,761人 | 子宮(頸部・体部・他) 30,738人 |
6位 | 肝および肝内胆管 22,325人 | 膵臓 23,779人 |
7位 | 食道 20,977人 | 悪性リンパ腫 17,528人 |
8位 | 腎・尿路(膀胱除く) 20,731人 | 皮膚 12,989人 |
9位 | 悪性リンパ腫 20,073人 | 卵巣 12,926人 |
10位 | 膀胱 17,901人 | 甲状腺 12,060人 |
女性は乳房や子宮、卵巣などの女性特有の部位に関するがんが発生することが多い傾向にあることがわかります。がん保険を検討する際は、こうした傾向をふまえて保障内容を確認する方法があります。
がん保険の中には、子宮がんや卵巣がんといった「女性特有のがん」や、乳房がんのように「女性が罹患しやすいがん」を重点的に備えるタイプもあります。また、「女性がん特約(女性疾病特約)」を付加することで、女性特有のがんや女性が罹患しやすいがんに対して重点的に備える方法も検討できるでしょう。
なお、乳房がんや子宮体がん、卵巣がんなどの女性に多いがんは、遺伝的な要因が関係する可能性があります。家族に同様の病歴がある場合は、女性向けのがん保険や女性がん特約も選択肢として検討できるでしょう。
参考:厚生労働省「令和5年 全国がん登録 罹患数・率 報告」
参考:がん研究会 有明病院「がんと遺伝の関係性について」
乳房再建給付金があるか
乳房がんは女性の罹患者数が多いがんの第1位です。厚生労働省の「令和5年 全国がん登録 罹患数・率 報告」によると、女性のがん罹患者のうち23.5%が乳房がんに罹患しています。がん保険に加入する際には、乳房再建給付金の有無も確認しておきましょう。
乳房再建給付金とは、乳房がんの手術の際に乳房を切除し、乳房再建術を受けた場合に支払われる給付金です。乳房再建術は条件を満たす場合には公的医療保険の対象ですが、自己負担割合に応じて一定の自己負担が生じることがあります。費用は術式や入院期間などによって異なります(※)。
乳房切除は女性にとって外見だけでなく精神的にも影響を与える可能性があります。乳房切除の際に経済的支援を得つつ、乳房再建術に踏み切るためにも、乳房再建給付金の有無や金額を確認しておきましょう。
※保険診療による自己負担額が月あたりの上限額を超える場合には、高額療養費制度の適用を受けられます。ただし、年齢や所得によって月あたりの上限額が異なるため、高額な医療費を支払っても還付を受けられない可能性があります。
診断給付金は複数回受け取れるか
診断給付金とは、がんと診断確定された場合に支払われる給付金です。保険会社によって給付金が支払われる回数が異なるため、がん保険やがん特約の契約をする前に確認しておきましょう。
診断給付金が1回のみ支払われるがん保険・がん特約もあります。しかし、がんの転移や再発、新たながんの発生などに備える場合、診断給付金を複数回受け取れるタイプかチェックしておくようにしましょう。また、次のポイントも確認しておくことが重要です。
【診断給付金のチェックポイント】
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診断給付金が支払われる条件は、保険会社によって異なります。医療機関でがんと診断された時点で給付される場合もあれば、がん治療のための入院や手術など一定の条件を満たした場合に支払われるタイプもあります。
上皮内新生物と診断された場合は、診断給付金が支払われないケースや給付金額が減額されるケースもあります。保険商品における上皮内新生物の扱いも確認しておきましょう。
免責期間と給付金額もチェックしておきましょう。基本的には免責期間内にがんと診断された場合診断給付金は支払われません。どの程度の期間なのか確認してから加入することが必要です。
がん保険の選び方に悩んだときは、相談窓口を利用するのも一つの方法です。中立的な相談機関であれば、がん保険についての一般的な考え方についての知見を得られるでしょう。
30代でのがん保険加入により期待できること

30代でがん保険に加入すると、次のポイントを実現できる可能性があります。
- 保険料を抑えられる場合がある
- 保険商品の選択肢が広がることがある
- 貯蓄を崩さずに治療を受けられる可能性がある
それぞれのポイントについて解説します。
保険料を抑えられる場合がある
がん保険の保険料は、被保険者の年齢が高くなるほど高額になる傾向にあります。30代でがん保険に加入した場合、40代以降で加入するよりも月々の保険料を抑えられる場合があります。
また、終身型のがん保険では、加入時の保険料が契約期間中継続して適用されることが一般的です。そのため、30代の保険料水準で長期的な保障に備えられるケースもあります。
ただし、1ヶ月あたりの保険料は抑えられる可能性がありますが、加入期間が長くなることでトータルの保険料は高額になる場合もあるため注意が必要です。月々の保険料だけでなく保険加入期間も考慮し、適切なタイミングで加入することが重要といえるでしょう。
保険商品の選択肢が広がることがある
年齢を重ねると健康を損なうリスクは高まりやすくなります。30代と比較して40代、50代と年齢が上がるにつれて、病気にかかったり健康診断で指摘を受けたりするケースも見られます。
がん保険や医療保険に加入する際には保険会社所定の診査があるため、健康状態に問題があると加入が難しくなる傾向にあります。保険商品を幅広い選択肢から選ぶためにも、健康状態に問題がない時期に保険加入を検討することが大切です。
なお、告知項目が少ない「引受基準緩和型」や告知項目がない「無選択型」は、健康状態に問題があっても加入しやすい保険です。しかし、保険料が一般的ながん保険や医療保険と比べて保険料が高めに設定される傾向があります。
貯蓄を崩さずに治療を受けられる可能性がある
がんの治療費は高額になる可能性があります。例えば、公的医療保険が適用されない先進医療を受ける場合なら治療費は全額自己負担です。また、放射線治療や抗がん剤治療は複数回にわたることもあり、保険診療であっても治療費総額が高額になる可能性があります。
入院が長引く場合や手術を受ける場合も、治療費が高額になる可能性があります。場合によっては、定期預金や債券などの資産を崩したり、住宅購入費や子どもの教育資金として準備していた資産を崩したりする必要が生じるでしょう。
しかし、がん保険やがん特約に加入している場合、治療費を給付金でカバーでき、貯蓄を崩す必要がない可能性があります。大切な資産をがん治療以外にも活用するためにも、がん保険で治療費に備える方法を検討できるでしょう。
保険についての悩みや疑問は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。
30代でがん保険に加入する際のチェックポイント

30代でがん保険に加入する際には、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 保障内容は適切か
- 保険料の支払い方は適切か
- 保険期間は適切か
上記のポイントは年代を問わず保険に加入する際には確認する必要がありますが、30代にとっても重要なポイントです。30代が特に注意したい点も含めて見ていきましょう。
保障内容は適切か
がん保険の保険料は年齢が高くなると高額になる傾向にあるため、30代でがん保険に加入する場合は40代以降で加入するよりも保険料を抑えやすいでしょう。
しかし、保障内容を充実させると保険料が高額になり、負担に感じるかもしれません。無理のない範囲で継続できるかという観点から、保障内容を検討することが必要です。
また、保険金や給付金の金額にも注意が必要です。金額を高く設定した場合、保障の範囲は広がる一方で、月々の保険料負担が大きくなる可能性があります。そのため、保障内容と保険料のバランスを踏まえて検討しましょう。
保険料の支払い方は適切か
定期型のがん保険は、保障が継続している期間中、保険料の支払いが続くタイプが一般的です。一方、終身型の場合は、一生涯保険料を支払い続ける「終身払い」か、一定期間のみ保険料を支払うことで一生涯の保障が継続する「有期払い」のいずれかを選択できることがあります。
月々の保険料を抑えたいなら終身払いが選択肢となりますが、老後の支出を抑えたいなら有期払いを検討できるでしょう。どちらがご自身の考え方やライフスタイルに合っているのか考慮し、適切な支払い方を選ぶことが大切です。
保険期間は適切か
保険期間もチェックしてみてください。定期型は、保険期間が一定である分、月々の保険料が比較的抑えられる傾向がありますが、更新時に保険料が改訂されることがあります。一方、終身型は月々の保険料が比較的高めに設定される傾向がありますが、更新がないため、基本的には保険料は値上がりしません。
定期的に保険の見直しを検討している場合は、定期型が選択肢となります。保険期間で迷ったときは、中立的な相談窓口を利用する方法もあります。
年代ごとのリスクにがん保険で備えよう

がん保険は、保険会社が定める年齢や健康状態などの基準を満たした場合、いつでも加入することが可能です。30代でがん保険に加入する際には、治療費だけでなく生活費にも備えられるよう、適切に保障内容や保険金額を設定することが大切です。
保険についての疑問は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。保険に対する一般的な考え方を客観的に確認できるでしょう。










