80歳から入れる生命保険はある?高齢者が入れる可能性のある保険や選び方を解説

80歳を過ぎてからでも加入できる生命保険はあります。一般的な保険に比べて保障内容は限定される傾向にありますが、葬儀費用の準備や入院・手術への備えなど、目的に応じた選択が可能です。
加入条件や保障の範囲を確認しながら、ご自身の状況に合った商品を選ぶことが大切です。
本記事では、80歳からでも加入できる保険の種類と選ぶポイント、加入の際の注意点をわかりやすく解説します。
80歳過ぎても生命保険は必要?

80歳を過ぎると、「もう生命保険は必要ないのでは」と感じる方もいるかもしれません。一方で、医療費や介護費用、万一の葬儀費用など、年齢を重ねたからこそ必要になるお金があります。それらへの備えとして、保険は重要な役割を果たします。
80歳以降も加入できる保険はあり、実際に加入している世帯も少なくありません。
ここでは、世帯主年齢別の生命保険加入率についてみていきましょう。
80代の生命保険の加入率
生命保険文化センターが行った2024年の調査によると、民間の生命保険会社が取り扱う生命保険商品(かんぽ生命を除く)における生命保険・個人年金保険の世帯加入率は、全体の平均で79.9%です。8割近い世帯が何らかの保険に加入していることがわかります。
世帯主年齢が70歳以上の世帯の加入率は以下のとおりです。
世帯主年齢 | 加入率 |
70~74歳 | 80.1% |
75~79歳 | 78.8% |
80~84歳 | 67.7% |
85~89歳 | 59.2% |
90歳以上 | 62.5% |
80歳以降の加入率は減少傾向にあるものの、80代前半は7割近く、後半でも6割近くが加入している状況です。
80歳以上でも生命保険の必要性を感じ、将来の出費に備えたいと考える人が一定数いることがわかります。年齢を重ねたからこそ生じる不安に対し、無理のない範囲で備えを検討している人が多いといえるでしょう。
医療保険・医療特約の加入率
ここからは、保険の種類別に加入率をみていきましょう。
民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における、医療保険・医療特約の世帯加入率の全体平均は95.1%で、70歳以上の加入率は、以下のとおりです。
世帯主年齢 | 加入率 |
70~74歳 | 93.0% |
75~79歳 | 93.1% |
80~84歳 | 86.3% |
85~89歳 | 82.8% |
90歳以上 | 80.0% |
70代まで9割以上だった加入率が、80歳を過ぎると低下しています。75歳以上は後期高齢者医療制度の対象となるため、公的医療保険での自己負担や給付の範囲を踏まえて、民間保険の保障内容を再検討する世帯もあると考えられるでしょう。
80歳以降は加入率が低下しているとはいえ、8割以上と高い水準を維持しています。
がん保険・がん特約の加入率
がんの罹患率は高く、治療が長期に及ぶことや、先進医療など医療費が高額になりやすいことなどから、医療保険とは別にがん保険の備えをする人も少なくありません。
がん保険は、がんと診断されたときや入院・手術を受けたときなどに給付金が支給される、がんに特化した保険です。
民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における、がん保険・がん特約の世帯加入率の平均は全体で68.2% と、前回調査の66.7%から上昇しています。70歳以上でがん保険・がん特約に加入している世帯の割合は、以下のとおりです。
世帯主年齢 | 加入率 |
70~74歳 | 61.4% |
75~79歳 | 61.4% |
80~84歳 | 51.0% |
85~89歳 | 34.5% |
90歳以上 | 50.0% |
80歳を過ぎて加入率は低下しますが、80代前半では半数を超える世帯が加入している状況です。
特定疾病保障保険・特定疾病保障特約の加入率
特定疾病保障保険とは、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に重点的に備える保険です。心疾患や脳血管疾患は後遺症が残るリスクもあり、リハビリなどで療養が長期化するケースもあります。そのため、医療保険に加えて別途保障を備える人も少なくありません。
民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における、特定疾病保障保険および特定疾病保障特約の世帯加入率は全体で50.4%、生活習慣病による三大疾病の発症リスクが高まる50〜54歳が最も高く、64.3%となっています。
70歳以上の加入率は、以下のとおりです。
世帯主年齢 | 加入率 |
70~74歳 | 35.4% |
75~79歳 | 30.2% |
80~84歳 | 21.6% |
85~89歳 | 27.6% |
90歳以上 | 40.0% |
80歳を超えると加入率は大幅に低下し、ピークとなる50〜54歳の半数以下になりますが、85歳以降で再び上昇しています。
介護保険・介護特約の加入率
介護保険とは、公的介護保険制度とは別に任意で加入する民間の保険です。所定の要介護状態になった際に、一時金や年金という形で給付金を受け取れる仕組みになっています。
民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における、介護保険・介護特約の世帯加入率は全体で20.1%で、「55〜59 歳」の26.4%と「60〜64 歳」の26.6%がピークになっています。全体の加入率は低いものの、2021年の前回調査と比較して50代以降のすべての年齢層で加入率が上昇しています。
70歳以上の加入率は、以下のとおりです。
世帯主年齢 | 加入率 |
70~74歳 | 16.1% |
75~79歳 | 13.9% |
80~84歳 | 10.8% |
85~89歳 | 13.8% |
90歳以上 | 30.0% |
80歳以降は減少していますが、80歳後半から再び上昇しています。
認知症保険・認知症特約の加入率
認知症保険とは、所定の認知症と診断された場合や、認知症で介護が必要な状態になった場合に、一時金や年金を受け取れる保険です。保障対象を認知症に特化したもので、介護保険とセットで契約できる商品もあります。
民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における、認知症保険・認知症特約の世帯加入率は全体で7.6%にとどまり、70歳以上の数値は以下のとおりです。
世帯主年齢 | 加入率 |
70~74歳 | 6.0% |
75~79歳 | 9.4% |
80~84歳 | 2.9% |
85~89歳 | 0% |
90歳以上 | 10.0% |
全体的に加入率は低い水準にあり、80歳以降ではさらに低下する傾向がみられます。認知症保険は比較的新しい分野で、まだ十分に認知されていないことも加入率が低い要因のひとつとして考えられます。
参考:生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する 全国実態調査」
80代の受療率
80代は、加齢により免疫機能や身体機能が低下し、医療機関を受診する機会が増えやすい年代です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病を併発するケースも珍しくありません。
また、心疾患や脳血管疾患など加齢と関係の深い病気は、年齢が上がるほど発症リスクが高まる傾向があります。さらに、転倒による骨折や関節の痛みなども受療の原因となります。
通院・入院のいずれも増える傾向があり、継続的に医療機関を利用する生活になりやすいのが特徴のひとつとされています。
厚生労働省の2023年のデータでは、70代以上の入院・外来の受療率(人口10万対)は、以下のとおりです。
年齢階級 | 入院 | 外来 |
70〜74歳 | 1,502 | 9,395 |
75〜79歳 | 2,033 | 11,197 |
80〜84歳 | 2,952 | 12,010 |
85〜89歳 | 4,413 | 11,483 |
90歳以上 | 6,275 | 10,021 |
80歳を過ぎると入院・通院の受療率のいずれも大きく上昇しているのがわかります。80代前半では、10万人につき3,000人近くが入院し、約1万2,000人が通院している状況です。さらに、80代後半になると、入院率が大幅に増加します。
入院や通院が長期化すれば、医療費の自己負担だけでなく、交通費や付き添い費用、日常生活にかかる出費も重なります。公的医療保険で一定の負担は抑えられるものの、療養期間が延びるほど家計への影響は大きくなる可能性があるでしょう。
こうした状況に備える手段として、民間保険の果たす役割は大きいといえます。
80歳からでも入れる生命保険

80歳を過ぎていても加入できる生命保険はあります。保障内容や給付条件は若年層向けの商品に比べて限定される場合がありますが、死亡保障や医療保障など、目的に応じた選択が可能です。
高齢期ならではの不安や出費に備える手段として、保険を活用することも選択肢のひとつといえるでしょう。
ここでは、80歳からでも加入できる主な保険を解説します。
死亡保険
80歳から加入できる死亡保険は、主に葬儀費用や身辺整理資金の準備を目的として選ばれます。高額な保障を設定することは難しいものの、保険会社や商品によっては必要最低限の保障額を備えることも可能です。
死亡保険には一定期間のみ保障が続く定期保険と、一生涯保障が続く終身保険があります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
種類 | 保障期間 | 保険料 | 更新 |
定期保険 | 一定期間のみ | 割安な傾向 | 満期後に更新可 |
終身保険 | 一生涯続く | 割高な傾向 | 更新なし |
80歳から加入する場合、定期保険の取り扱いは限られ、保障期間も短めに設定されるケースが一般的です。更新できる場合もありますが、更新時の保険料は上昇する傾向にあります。一方、終身保険は生涯にわたって保障が続くため、葬儀費用の備えとして活用しやすいでしょう。ただし、加入年齢が高い分、保険料は割高になる傾向があります。
また、商品によっては、契約後一定期間は保険金が支払われない場合や、支払われる保険金が通常より減額される期間が設けられていることがあります。
さらに、加入時の年齢や健康状態によっては保障額に上限が設けられたり、加入できなかったりする場合がある点にも注意が必要です。
それでも、万一の際に家族へ経済的負担を残さないための備えとして、死亡保険を検討する意義はあります。必要最低限の保障に絞り、無理なく支払いを続けられる内容かどうかを見極めることが大切です。
医療保険
医療保険は、病気やケガで治療を受けた際の医療費の経済的な負担を軽減できる可能性がある保険です。商品ごとに保障内容や給付金額は異なり、一定日数以上の入院で給付されるタイプもあれば、日帰り手術や入院前後の通院まで保障対象に含めるタイプもあります。
80歳からでも医療保険に加入し、入院や手術に備えることは可能です。民間保険には新規加入できる年齢の上限があり、その基準は保険会社ごとに異なりますが、80歳や85歳に設定されていることが一般的です。そのため、80歳は加入できる商品の選択肢が絞られやすい年齢であり、早めの検討が重要になる場合があります。
高齢期は入院リスクが高まることから、医療保険への一定のニーズがありますが、保障内容や給付条件は若年層向けの商品に比べて限定される場合があります。
例えば、入院日数の上限が短めに設定されていたり、給付対象となる手術が限定されていたりする場合があります。
加入年齢が高くなるほど、毎月の保険料も上昇する傾向があり、保障内容とのバランスを確認することが大切です。加入前には、どのような入院や手術が保障対象になるのかを十分に確認し、必要な備えができるかを見極める必要があるでしょう。
がん保険
がん保険は、がんの治療に特化した保険です。がんと診断されたときは一時金が支払われるほか、入院・手術の際には給付金を受け取れます。
がんは高齢期に発症リスクが高まる病気のひとつであるため、備えとして検討されることが多い保険です。高齢でも加入できるがん保険はありますが、保障開始までの待機期間や給付制限が設けられることが一般的です。
契約後すぐに保障が始まるわけではなく、一定期間経過後に保障が有効となる仕組みとなっており、給付回数や金額に制限がある場合もあります。
がんの既往歴がある場合など、健康状態や病歴によっては加入できないことがあるため注意が必要です。
また、がん保険はすべてのがんが保障対象となるわけではなく、がんの種類によっては給付の対象外となるケースもあります。加入時には、どのような条件で給付金が支払われるのかを事前に確認しておくことが重要です。
内容を十分に確認せずに加入すると、想定していた保障が受けられない可能性もあります。待機期間や給付条件を理解したうえで検討することが大切です。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、持病や既往歴がある場合でも加入しやすいように、告知項目を限定した保険です。通常の保険に加入しにくい場合でも検討しやすいでしょう。
告知項目の内容は保険会社ごとに異なりますが、一般的には以下のような簡単な質問に「はい」「いいえ」で答える形式です。
- 直近3ヶ月以内に、医師から入院や手術を勧められたことがあるか
- 過去2年以内に、入院や手術を受けたことがあるか
- 過去5年以内に、がんなどで診察・治療・投薬を受けたことがあるか
これらはあくまで一例であり、告知項目や判断基準は商品ごとに異なります。一般に、所定の告知項目に該当しない場合は、加入できる可能性が高いとされています。
ただし、加入しやすい一方で、保険料は一般的な保険より高めに設定されていることが多く、保障内容にも一定の制限がある点には注意が必要です。
内容をよく確認し、必要な保障が確保できるかを見極めることが大切です。
無選択型保険
無選択型保険は、健康状態の告知が不要で加入できる保険です。年齢が高く、持病がある場合でも加入しやすいのが特徴のひとつとされています。引受基準緩和型保険でも加入が難しい場合の選択肢のひとつですが、保障内容は限定される傾向があります。
また、保険料も高めに設定されており、契約後一定期間は保険金が支払われない場合や、支払われる保険金が通常より減額される期間が設けられている場合もあります。
加入のしやすさだけで判断するのではなく、どのような条件で給付が受けられるのかを確認することが大切です。
80歳から入れる生命保険を選ぶポイント

80歳からの保険選びは、若い世代とは考え方が大きく異なります。将来の長い期間に備えるというよりも、これから先に起こり得る現実的なリスクに、どのように備えるかという視点が重要です。
保険を選ぶ際は、年齢や健康状態を踏まえ、本当に必要な保障に絞ることが大切です。無理なく支払いを続けられる保険料かどうかも重要な判断基準となります。
ここでは、80歳から加入できる生命保険の選び方を解説します。
現在加入している保険の内容を確認する
新たに保険を検討する前に、まず現在加入している保険の保障内容を把握することが重要です。すでに死亡保障や医療保障が備わっている場合、追加加入によって保障が重複する可能性があります。
保険証券や契約内容のお知らせを確認し、保障期間や給付金額、特約の内容を整理しておくことで、不足している部分だけを補う保険を選びやすくなります。
あわせて、毎月の保険料負担を見直せる余地がないか確認しておくことも大切です。以前加入した保険の中には、今の生活状況では不要な保障が含まれている場合もあります。
必要な保障や保障額は、家族構成や年齢、ライフステージによって変化するため、現状に合った内容へ見直すことで、保険料を抑えられる可能性があるでしょう。
必要な保障を把握する
保険を選ぶ際には、何のために備えたいのかを明確にすることが大切です。葬儀費用を準備したいのか、入院や手術に備えたいのかによって、選ぶ保険の種類は異なります。目的があいまいなまま加入すると、不要な保障を付けてしまったり、必要な部分が不足したりすることがあります。
保険ごとの主な目的は、以下のとおりです。
死亡保険 | 葬儀費用や身辺整理にかかる費用を準備し、家族へ経済的負担を残さないこと |
医療保険・がん保険 | 入院や手術の可能性が高まる年代に備え、医療費の自己負担や長期療養中の出費を補うこと |
死亡保険の保険金は、民法上は受取人固有の財産として扱われますが、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象になる場合があります。そのため、一定の非課税枠を活用した相続税対策として利用されることもあるでしょう。
医療保険は、公的医療保険制度により医療費の自己負担が一定程度抑えられるため、貯蓄や年金で賄える場合は必要ないケースもあります。
しかし、差額ベッド代や先進医療にかかる費用など公的医療保険の給付対象とならない支出もあるため、医療費の自己負担に備えたい場合には、医療保険やがん保険への加入を検討しておくのもひとつの選択肢です。
自分にとって必要な保障を整理することで、商品選びがしやすくなり、無駄のない契約につながります。
必要な保障額と保険料のバランスを考える
保険選びでは、保障額だけに注目するのではなく、毎月の保険料が無理なく支払えるかどうかを確認することも重要です。80歳からの加入では保険料が高めに設定されることが多く、長期間支払いを続けることが負担になる場合があります。
家計の状況や今後の生活費を考慮し、現実的な範囲で保障額を設定することが必要です。過度に手厚い保障を求めるよりも、必要な範囲に絞ることで、備えと負担のバランスがとれた保険選びができます。継続的に支払える保険料かどうかを基準に考えましょう。
80歳が生命保険に加入するときの注意点

高齢での生命保険加入には、年齢や健康状態による制限や条件があります。内容を十分に理解したうえで、無理のない選択をすることが大切です。
ここでは、80歳からの保険加入で注意したい点を解説します。
加入が制限される場合がある
年齢や健康状態によっては、加入できる保険の種類や保障額が制限されることがあります。特に80歳を超える場合、加入できる保険を取り扱う保険会社や商品が限られてきます。
高額な死亡保障や幅広い医療保障を設定することは難しく、必要最低限の保障に限定されることが一般的です。
また、健康状態によっては通常の保険に加入できず、引受基準緩和型や無選択型の保険を検討しなければならない場合もあります。選択肢が限られることを理解したうえで、現実的な範囲で検討することが大切です。
加入に条件が付く場合がある
高齢で加入できる保険には、商品によって、契約後一定期間は給付金が支払われない、または給付金が通常より減額される期間が設けられている場合があります。さらに、保障の対象となる病気や給付条件が限定されていることもあります。
これらの条件を理解せずに加入すると、いざというときに想定どおりの給付を受けられない可能性があります。契約前には、給付の対象となる病気や支払条件、保障内容を確認し、納得したうえで加入することが大切です。
保険料が高くなる可能性がある
加入年齢が高いほど、保険料は割高に設定される傾向があります。これは、保険会社が将来保険金や給付金が支払われる可能性が高くなることを考慮しているためです。保障内容に対して保険料が見合っているかを冷静に判断する必要があるでしょう。
短期間で解約すると、支払った保険料が無駄になることもあります。長期的に無理なく支払えるかどうかを基準に検討することが重要です。保険料と保障のバランスを見極めることが、後悔のない選択につながります。
80歳からでも生命保険に加入できる可能性がある

高齢になるほど病気やケガのリスクは増し、保険の必要性も高まります。入院や通院が長引くことで医療費や生活費の負担が増える可能性があるため、経済面の備えとして保険の役割は小さくありません。
80歳からでも加入できる生命保険はあり、選ぶ際は必要な保障に絞って保険料とのバランスを考えることが大切です。現在の契約内容も踏まえ、不足分だけを補うという視点で、無理のない範囲で備えを整えることが重要なポイントです。










