生命保険(死亡保険)

生命保険の保険金や給付金が支払われないケースとは?請求時の注意点も解説

生命保険の保険金や給付金は、契約していれば必ず支払われるわけではありません。支払事由に該当しない場合や免責事由に該当する場合、告知義務違反があった場合などには支払われないケースもあります。

この記事では、生命保険の保険金・給付金が支払われない主な4つのケースと、請求手続きの流れや注意点について解説します。万が一のときに困らないよう、事前に確認しておきましょう。

生命保険の保険金や給付金が支払われない主な4つのケース

生命保険の保険金や給付金が支払われないケースは、主に次の4つです。

  • 支払事由に該当しない場合
  • 免責事由に該当する場合
  • 告知義務違反により保険契約(特約)が解除された場合
  • 重大事由・詐欺行為・不法取得目的等により契約解除・取消・無効となった場合

保険金や給付金は、約款で定められた支払事由に該当して初めて受け取れます。「保険に加入していれば受け取れる」とは限らず、条件に当てはまらない場合は支払対象外のケースも少なくありません。

万一の際に困らないよう、ご自身の契約内容をあらかじめ把握しておくことが重要です。「契約中の保険の内容がわからない」という方には、中立的な相談機関で確認する方法もあります。

ケース1. 支払事由に該当しない場合

保険金や給付金は、約款に定められた支払事由に該当した場合に支払われます。保険会社・商品によって支払条件は異なるため、契約内容と照らし合わせて、支払対象となるかどうかを確認する必要があります。

支払事由に該当しないケースは、入院給付金、手術給付金、がん保険の給付金、先進医療保障特約の給付金など、給付金の種類によってさまざまです。

特に、保障開始前の病気やケガが原因の場合、治療目的以外の入院・手術の場合、支払限度日数を超えた場合などは注意が必要です。以下で具体的なケースを確認していきましょう。

入院給付金が支払われないケース

入院給付金が支払われない主なケースとして、以下のものが挙げられます。

  • 入院日数が所定の日数に満たない場合
  • 支払限度日数を超えた場合
  • 保障開始前の病気・事故が原因の場合
  • 治療目的でない入院の場合(正常分娩、人間ドック、検査入院など)

入院給付金は、「日帰り入院から保障」「入院5日目から保障」など商品によって支払条件が異なります。例えば「入院5日目から保障」の契約の場合、4日間の入院では給付金を受け取れません。

支払限度日数についても「1入院あたり60日」「通算1,000日」など、契約内容によって異なります。長期入院の場合や、同じ病気で入退院を繰り返す場合は、限度日数を超えてしまうケースがあるため、契約している保険の約款で確認しておく必要があります。

なお、治療を直接の目的としない正常分娩、人間ドックや検査・健康診断のための入院は入院給付金の支払対象外です。

手術給付金が支払われないケース

手術給付金についても、以下のようなケースで支払対象外となる可能性があります。

  • 保障開始前の病気・事故が原因の場合
  • 治療目的でない手術の場合(検査、美容整形など)
  • 支払対象外の手術の場合

支払対象となる手術は、保険会社や商品によって異なります。約款で定められる支払対象か、医科診療報酬点数表において手術料の算定対象かどうかで判断されることが一般的です。

約款で定められた「給付対象となる手術の一覧」から外れる場合は、医療行為としての手術であっても支払対象外となります。

がん保険の給付金が支払われないケース

がん保険については、以下のケースで給付金が支払われないことがあります。

  • 契約後90日以内にがんと診断確定された場合
  • がん以外の病気での入院・手術の場合
  • 上皮内新生物の場合(商品によっては減額)

がん保険には、契約から保障開始まで90日間の免責期間が設けられていることが多く、この期間は保障が開始されません。免責期間中にがんと診断確定された場合、給付金は支払われないうえ、契約自体が無効となります。

上皮内新生物(上皮内がん)については、保険商品によって取り扱いが異なります。給付金の支払対象外としている商品や給付金額が減額される商品があるため、加入時に確認しておきましょう。

がん保険の入院一時金が支払われないケース

がん入院一時金も、状況によって支払われないケースがあるため注意が必要です。

一時金の支払いの間隔には、一般的に制限が設けられています。例えば、直前の一時金の支払事由該当日から起算して所定の期間を経過していない場合、がんの再発による再入院であっても給付の対象外となることがあります。

がん診断給付金との違いについても、正しい理解が必要です。がん診断給付金は診断確定された時点で受け取れるのに対し、入院一時金は診断確定に加えて、実際に入院することが給付の要件となります。

診断確定後に通院のみで治療を行い、一度も入院しなかった場合には、この一時金を受け取ることはできません。

先進医療保障特約の給付金が支払われないケース

先進医療保障特約は、厚生労働大臣が認める「先進医療」に該当する医療技術を受けた場合に給付金が支払われます。ただし、以下のケースでは支払対象外です。

  • 厚生労働大臣が定める「先進医療」に該当しない場合
  • 定められた適応症(対象となる病気・ケガ・症状)に該当しない場合
  • 先進医療の届出を行っている医療機関以外で治療を受けた場合

先進医療の対象は随時見直されており、ある時点で先進医療として認められていた医療技術が、後に一般診療(公的医療保険の対象)へ移行することもあります。

療養を受けた時点で先進医療として承認されていることが給付の条件です。加えて、その医療技術の届出を厚生労働省に行っている医療機関で治療を受ける必要があります。

ご自身が契約中の保険内容について疑問や不安がある方は、相談窓口を利用しながら検討することもできます。

ケース2. 免責事由に該当する場合

保険金や給付金は、約款に定められた免責事由に該当する場合には支払われません。

免責事由とは、保険会社が保険金等の支払責任を負わない事由のことです。契約者や被保険者の故意による事故、犯罪行為、戦争などが該当します。

免責事由は、保険制度の健全な運営と善良な契約者を保護する目的で設けられたものです。もし免責事由がなければ、保険金目的の事故や犯罪行為を誘発するおそれがあり、正当に保険料を支払っている契約者に不利益が生じかねません。

特に死亡保障や災害保障においては、死因や事故の原因が精査されます。それぞれの詳細について、見ていきましょう。

死亡給付金の免責事由の一例

死亡給付金が支払われない免責事由の例として、以下のものがあります。

  • 責任開始期または復活日から一定期間内(1〜3年、保険会社により異なる)の自殺
  • 契約者または受取人の故意による死亡
  • 戦争その他の変乱による死亡

自殺の免責期間は、保険会社や契約内容によって異なります。この期間を経過した後の自殺については、死亡保険金が支払われるケースが多いでしょう。

戦争その他の変乱による場合は、その程度が精査され、全額または一部が支払われることもあります。

災害死亡保険金の免責事由の一例

災害死亡保険金については、以下のような免責事由が定められています。

  • 契約者・被保険者・受取人の故意または重大な過失
  • 被保険者の犯罪行為
  • 被保険者の精神障害または泥酔状態を原因とする事故
  • 被保険者の無免許運転・酒気帯び運転中の事故
  • 戦争、地震、噴火、津波

災害死亡保険金は、不慮の事故や災害で死亡した場合に支払われるものです。そのため、故意または重大な過失による事故死は免責の対象となります。

戦争・地震・噴火・津波による死亡事故については、その影響の程度などに応じて、全額または一部が支払われる場合があります。 

「保険の約款の見方がよくわからない」「もっと自分に合った保険への見直しを考えたい」という方は、相談サービスの利用も一つの選択肢です。

ケース3. 告知義務違反により保険契約(特約)が解除された場合

生命保険に加入する際、健康状態や過去の傷病歴を正確に告知しなかった場合、告知義務違反として契約(特約)が解除されることがあります。この場合、原則として保険金や給付金は支払われません。

保険契約の申込みにあたっては、現在の健康状態、過去の傷病歴、職業などについて正確に告知する義務があります。保険会社は告知された内容に基づき、契約の引き受け可否や保険料を決定します。

告知義務違反があった場合には、告知しなかった事実と保険金・給付金の支払事由との間に因果関係があるかどうかで、支払いの可否が判断されます。

告知は、書面(告知書)や生命保険会社指定の方法で行う必要があります。営業職員や保険代理店の担当者に口頭で伝えただけでは、正式な告知とはみなされません。

「担当者には伝えた」と主張しても、書面で告知していなければ告知義務違反となる可能性もあります。書面やWEBサイトなど、所定の手続きを通じ、自身の手で正確に記載することが大切です。

保険の手続きについて不安や疑問がある場合は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。

ケース4. 重大事由・詐欺行為・不法取得目的等により、保険契約が解除・取消・無効とされた場合

生命保険制度は、契約者の善意と信頼に基づく相互扶助の仕組みです。この仕組みを悪用する不正な行為があった場合には、契約が解除・取消・無効となり、保険金や給付金は支払われません。

不正行為は、大きく「重大事由による解除」「詐欺による取消」「不法取得目的による無効」の3つに分類されます。

「重大事由による解除」は、保険会社との信頼関係を著しく損なう行為があったケースです。「保険金を詐取する目的で故意に事故を起こした」「暴力団関係者などの反社会勢力に該当する」「他の契約との重複により給付金額が著しく過大となる」などが該当します。

「詐欺による取消」は、契約時に虚偽の申告をして加入した場合です。重い病気を認識していながら健康であると偽って契約するなど、意図的に保険会社をだます行為が対象となります。

「不法取得目的による無効」は、最初から不正に保険金を得る目的で契約した場合です。保険金目的で他人に危害を加えることを計画して契約した場合などが該当し、契約自体が成立しないとされます。

なお、これらの行為は詐欺罪などの刑事罰の対象となる可能性があります。

生命保険の保険金・給付金を請求する流れと注意点

保険金や給付金は、支払事由が発生しても自動的に受け取れるものではありません。受取人が所定の手続きを行って請求する必要があります。

保険金・給付金の請求には時効があり、原則として「権利を行使できる時から3年」とされています。支払事由の発生後、早めに請求手続きを行いましょう。

請求手続きの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 生命保険会社に連絡する
  2. 請求書類を準備し提出する
  3. 生命保険会社が支払事由に該当するか判断する
  4. 受取内容や金額の明細を確認する

各ステップでどのような点に注意すべきか、具体的に解説します。

1.生命保険会社に連絡する

保険証券や「ご契約のしおり・約款」などで契約内容を確認したら、速やかに生命保険会社に連絡します。

連絡先としては、担当者のほか、保険代理店、営業所・支社、サービスセンター・コールセンターなどです。保険会社や契約内容によっては、WEBサイトからオンラインで手続きできる場合もあります。

複数の特約を付加している契約や複数の保険に加入している場合は、すべての保険証券を確認し、請求漏れがないようにしましょう。

2.請求書類を準備し提出する

保険会社から手続きの案内と書類が届いたら、必要事項を記入し、所定の書類を揃えて提出します。不備や不足は支払遅延の原因となるため、慎重に準備しましょう。

主な必要書類は、請求する保険の種類によって異なります。入院・手術給付金の場合は、給付金請求書や診断書(証明書)などが必要となるのが一般的です。

また、死亡保険金の場合は、保険金請求書に加えて受取人の戸籍謄本や印鑑証明書、被保険者の住民票、死亡診断書(死体検案書)などが必要となります。

診断書の代わりに、領収書や診療明細書のコピーで代用できる場合もあります。代用できる条件は商品ごとに細かく定められているため、事前の確認が必要です。返送前にはチェックリストなどを活用し、記入漏れや書類の不足がないか確認しましょう。

3.生命保険会社が支払事由に該当するか判断する

提出された書類と約款の内容に基づき、保険会社が支払事由に該当するかどうかを判断します。支払事由に該当しない場合、免責事由に該当する場合、告知義務違反があった場合などは、保険金・給付金が支払われません。

約款で支払期限が定められていますが、治療内容・障害状態・事故状況などについて詳細な確認が必要となる場合には、支払期限が延長されることもあります。

4.受取内容や金額の明細を確認する

保険金・給付金は、受取人が指定した金融機関の口座へ振り込まれます。受取内容や金額の明細書が送付されたら、内容に相違がないか確認しましょう。想定していた金額と異なる場合は、明細書に理由が記載されていることが一般的です。

保険金・給付金が支払われない場合は、その理由が書面等で通知・説明されます。不明点があれば、保険会社へ問い合わせて確認しましょう。

生命保険の保険金等が支払われないケースについて確認しておこう

生命保険の保険金や給付金が支払われないケースは、主に次の4つが挙げられます。

  • 支払事由に該当しない場合
  • 免責事由に該当する場合
  • 告知義務違反により契約が解除された場合
  • 重大事由・詐欺行為・不法取得目的等により契約が解除・取消・無効となった場合

入院給付金や手術給付金、がん保険の給付金、先進医療保障特約の給付金など、給付金の種類によって支払条件は異なります。また、保険会社や商品によっても違いがあるため、ご自身の契約内容を事前に確認しておくことが重要です。

保険金・給付金は、自動的に支払われるものではなく、受取人による請求手続きが必要です。支払事由に該当した場合は速やかに保険会社へ連絡し、必要書類を揃えて提出しましょう。

複数の保険金や給付金を受け取れる可能性もあるため、すべての保険証券を確認することが大切です。

保険内容の確認や見直しは、保険料の負担だけでなく、必要な保障額や内容を踏まえて行いましょう。保険の見直しの相談は、相談窓口を利用しながら検討することもできます。

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