がん保険

70代(70歳)以降のがん保険の必要性・選び方の注意点について解説

70代以降のがん保険は、必ずしもすべての方に必要とは限らず、公的医療保険制度や預貯金の状況を踏まえて判断することが重要です。

がんの罹患や死亡のリスクは年齢とともに高まる傾向にある一方で、70代のがん保険の加入率は3割台にとどまっており、加入の有無は個々の状況によって異なります。

この記事では、70代のがん保険の必要性や検討したいケース、選ぶ際のポイントについて解説します。

70代以降にがん保険はいらない?データから見る必要性

70代以降にがん保険が必要かどうかは、一律に判断できるものではありません。年齢とともにがんの罹患や死亡のリスクは高まる傾向がある一方で、公的医療保険制度による自己負担の軽減や、高額療養費制度の存在も考慮する必要があります。

ここでは、70代のがんに関する罹患数やリスク、加入率などのデータをもとに、がん保険の必要性について解説します。

70代のがんの罹患数

がんの罹患数は、70代を単体で見るだけでなく、他の年齢階級と比較することで、その位置付けをより把握しやすくなります。以下は、40代以降のがんの罹患数のデータをまとめたものです。

年齢階級

男性

女性

40~44歳

4,479

12,626

45~49歳

8,634

22,399

50~54歳

15,693

28,067

55~59歳

24,687

28,443

60~64歳

40,641

31,360

65~69歳

64,514

38,617

70~74歳

111,706

60,112

75~79歳

110,780

61,665

80~84歳

88,121

56,853

85~89歳

53,587

45,784

90~94歳

21,169

27,153

95~99歳

4,415

9,213

100歳以上

331

1,332

がんの罹患数は年齢とともに増加し、70代で高い水準に達していることがわかります。男性は70~74歳で111,706人と最も多く、75~79歳でも110,780人とほぼ同水準です。女性は70~74歳が60,112人、75~79歳が61,665人で、70代後半のほうが前半よりも若干多くなっています。

男女でピークとなる年齢階級には違いがあるものの、いずれも70代で罹患数が大きく増えている点は共通しています。60代以前と比べても件数が増加しており、70代はがんと診断される方が多い年代に入っているといえるでしょう。

70代以降のがん保険の必要性を考えるうえでも、まずはこうした年齢別の傾向を踏まえておくことが大切です。

参考:厚生労働省「2023年全国がん登録 罹患数・率 報告」

70代のがんの罹患リスク

年齢とともにがんの罹患リスクがどのように変化するかを確認すると、70代における位置付けがより明確になります。以下は、各年齢までにがんと診断される確率(累積リスク)をまとめたものです。

年齢階級

男性

女性

~39歳

1.2%

2.2%

~49歳

2.7%

6.0%

~59歳

7.2%

11.8%

~69歳

19.8%

20.1%

~79歳

40.5%

31.5%

生涯

62.1%

48.9%

がんの罹患リスクは40代までは比較的低い水準にとどまっていますが、50代に入ると上昇が見られ、がんにかかる方が増える傾向にあることがわかります。なお、70代(~79歳)における累積リスクは、男性40.5%、女性31.5%に達しています。

また、生涯でがんと診断される確率は男性62.1%、女性48.9%とされており、おおむね2人に1人ががんを経験するといわれる背景も、このデータから読み取れます。

参考:公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計 2025」

70代のがんの死亡リスク

がんによる累積死亡リスクを、年齢階級別に表にまとめました。

年齢階級

男性

女性

~39歳

0.2%

0.2%

~49歳

0.4%

0.6%

~59歳

1.5%

1.7%

~69歳

5.0%

3.8%

~79歳

12.8%

7.9%

生涯

24.7%

17.2%

70代(~79歳)までの累積死亡リスクは、男性12.8%、女性7.9%となっています。60代(~69歳)と比較すると、男性は5.0%から12.8%へ、女性は3.8%から7.9%へと上昇しており、70代にかけて死亡リスクが高まる傾向が見られます。

また、生涯でがんにより死亡する確率は男性24.7%、女性17.2%とされており、罹患リスクと同様に男女差がある点も特徴です。

このように、死亡リスクは年齢の経過とともに高まっていきます。70代はその水準が大きく伸びるタイミングにあたるため、罹患だけでなく、その後の経過も含めて考える必要がある年代といえるでしょう。

罹患数や罹患・死亡リスクなどを踏まえると、がんへの備えが必要と感じることもあるかもしれません。その場合は、保険に関する中立的な相談サービスなどを通じて自身の状況を振り返り、がん保険で備えるか、他の手段も含めて検討する方法も考えられます。

参考:公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計 2025」

70代のがん保険の加入率

実際にどの程度の方ががん保険・がん特約付きの生命保険に加入しているのかを、確認してみましょう。以下は、公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」の結果を表にまとめたものです。

年代

男性

女性

20代

18.2%

20.0%

30代

40.9%

43.6%

40代

45.2%

47.3%

50代

50.2%

48.1%

60代

41.3%

41.6%

70代

30.7%

34.9%

70代のがん保険の加入率は、男性30.7%、女性34.9%となっています。いずれも3割台にとどまっており、過半数には達していません。

他の年代と比較すると、40代や50代のほうが加入率は高い傾向にあります。50代以降は年齢が上がるにつれて加入率は低下しており、70代では加入していない方も一定数いることがわかります。

このように、がんの罹患リスクが高まる年代であっても、必ずしも多くの方ががん保険に加入しているわけではありません。加入の有無は、預貯金や公的制度の活用状況など、個々の事情によって判断が分かれる傾向が見られます。

判断に悩む場合は、第三者の視点を取り入れてみるのも一つの方法です。保険について中立的な相談サービスを通じて、がん保険に関する情報を比較検討したり、保険に対する考え方を深めることもできます。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」

70代以降でがん保険への加入を検討したいケース

70代におけるがん保険の必要性は一律ではありませんが、状況によっては加入を検討する余地があります。ここでは、どのようなケースでがん保険が選択肢に挙がるのかを見ていきましょう。

治療の選択肢を広く持ちたい

がん治療では、公的医療保険の対象となる治療だけでなく、先進医療の技術料や自由診療など、公的保険が適用されない治療が選択肢となる場合もあります。

これらは全額自己負担となるため、家計の大きな負担になることも考えられます。場合によっては、治療の選択肢から外さざるを得ないケースもあるかもしれません。

そのため、先進医療や自由診療、入院時の差額ベッド代などを気にせず、最善の治療環境を選びたい場合には、がん保険が選択肢となるケースも考えられます。がん保険による金銭的な備えがあれば、費用を理由に希望する治療を諦める事態を防げる可能性があります。

十分な預貯金がない

がんに罹患した場合、治療費だけでなく、通院にともなう交通費や日用品費、家族の付き添いに関する費用など、さまざまな支出が発生します。これらは公的制度の対象外となることも多く、自己負担が大きくなるケースもあります。

こうした費用を預貯金だけで無理なくまかなえるかどうかは、保険への加入を検討する際の一つの判断基準になるでしょう。十分な資金が確保されていない場合、用途が限定されない診断一時金などの給付によって費用負担を補うという考え方もあります。

収入に不安がある

70代では年金収入を主な生活基盤としている方が多く、現役世代のように労働収入で不足分を補うことが難しいケースもあります。治療が長期化した場合、支出が増える一方で収入は大きく変わらないため、家計への影響が大きくなる可能性もあります。

こうした状況では、継続的な給付が受けられる保険が、支出増への備えとして位置付けられることもあります。収入と支出のバランスを踏まえたうえで、必要な備えを検討することが重要です。

「自身ががん保険への加入が必要な状況かどうか、見極めたうえで加入を検討したい」と考えるのであれば、中立的な相談窓口を利用して専門家に相談するのも選択肢の一つです。保険に関する一般的な考え方や理解を深めるサポートが得られる可能性があります。

70代ががん保険の加入を検討する際に注意したいポイント

70代でがん保険を検討する場合は、若い世代とは異なる視点があります。保険料や公的制度、預貯金とのバランスを踏まえ、過不足のない備えを考えることが重要です。

以下で、詳しく解説します。

公的制度について理解しておく

70代では公的医療保険制度により、医療費の自己負担割合が軽減されています。70〜74歳は原則2割(現役並み所得者は3割)、75歳以上は1〜3割となっており、現役世代よりも負担が抑えられる仕組みです。

さらに、高額療養費制度によって、1ヶ月あたりの自己負担額には上限が設けられています。実際の医療費が高額になった場合でも、一定額を超えた分は支給されるため、極端に大きな負担が生じにくい制度設計です。

こうした公的制度の内容を踏まえずにがん保険を検討すると、必要以上に保障を厚くしてしまう可能性があります。まずは自己負担がどの程度に収まるのかを把握したうえで、保険の必要性を考える視点が求められるでしょう。

「必要な保障を必要なだけ」を意識する

70代での保険加入は、一般的に若い世代と比較すると月々の保険料が高くなる傾向があります。そのため、すべての特約を付加するような手厚いプランを選ぶと、毎月の負担が重くなるケースもあります。

保障内容は必ずしも広く、厚ければよいというものではなく、自身の状況に合わせて取捨選択することが大切です。例えば診断一時金のようにまとまった資金を受け取れる保障や、自己負担が大きくなりやすい先進医療に関する保障など、優先順位をつけて検討することががん保険の選び方の一つのポイントになってくるでしょう。

保険料と保障内容のバランスを意識しながら、必要な部分に絞って備えることが、無理のない契約につながります。

貯蓄で治療費がカバーできるかも考慮する

預貯金でがん治療にともなう支出を無理なくまかなえる場合は、がん保険に加入しないという選択も考えられます。公的制度によって自己負担が一定程度抑えられることもあり、預貯金での備えが十分であればすべてを保険で備える必要があるとは限りません。

一方で、預貯金を取り崩すことに不安がある場合や、想定外の出費に備えて資金を残しておきたい場合には、保険で一部を補うという考え方もあります。

保険に頼る範囲と、自己資金で対応する範囲について判断に迷うこともあるかもしれません。すでに加入している保険とのバランスも考える必要があります。内容が複雑で整理が難しい場合は、中立的な相談サービスを活用して一度状況を整理して考えるのも一つの方法です。

70代のがん保険についてよくある質問

70代でがん保険を検討する際には、保障内容や医療保険との違いなどで疑問を持つケースも少なくありません。ここでは、70代のがん保険における代表的な質問と回答をまとめました。

先進医療の費用はがん保険でカバーできる?

がん保険に先進医療特約を付加している場合、公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料については、所定の範囲内で給付の対象になります。

先進医療では、診察料や入院費などは公的保険が適用される一方で、技術料は全額自己負担となる仕組みです。治療内容によっては高額になるケースもあるため、どの部分が保険の対象になるのかを事前に確認しておくことが重要でしょう。

上皮内新生物はがん保険の保障対象になる?

上皮内新生物の取り扱いは、商品によって異なります。診断給付金が満額支払われるものもあれば、給付額が抑えられる場合や、対象外とされる場合もあります。

上皮内新生物は適切な治療によって予後が良好とされるケースもありますが、放置すると進行する可能性もあります。そのため、70代ががん保険を見直す際は上皮内新生物でも診断給付金が受け取れるタイプが選択肢の一つになるでしょう。

医療保険に加えてがん保険への加入は必要?

医療保険は、病気やケガによる入院・手術などを幅広くカバーする一方で、1入院あたりの支払限度日数が設けられていることが一般的です。

一方、がん保険はがんに特化した保障であり、入院日数無制限や診断一時金など、長期にわたる治療に対応しやすい設計となっている商品もあります。

すでに医療保険に加入している場合でも、がん治療にともなう支出に不安がある場合には、保障の役割分担という観点で追加の備えが検討されることもあります。

70代以降のがん保険は公的制度と預貯金とのバランスを考えてプランを組もう

70代におけるがん保険の必要性は一律ではなく、公的医療保険制度や預貯金の状況によって判断が分かれます。がんの罹患数やリスクは年齢とともに高まる傾向にある一方で、医療費の自己負担は一定程度抑えられる仕組みが整っています。

加入率が3割台にとどまっている点からも、すべての方にとって必須の備えとはいえない場合もあります。治療の選択肢を広げたい場合や、預貯金だけでは不安が残る場合など、それぞれの状況に応じて検討することが重要です。

保険を検討する際は、公的制度でカバーされる範囲と自己負担となる費用を把握したうえで、不足する部分をどのように備えるかを考えることが重要です。保障を厚くしすぎると保険料負担が大きくなるため、「必要な保障を必要なだけ」という視点も欠かせません。

自身の収入や支出、預貯金の状況を踏まえて全体像を整理したい場合は、保険に関する中立的な相談窓口で確認する方法もあります。複数の選択肢を比較しながら、無理のない備え方を検討することが重要です。

関連コラム

がん保険コラム一覧へ戻る