学資保険

学資保険の受取人は誰がよい?決め方や税金の種類を解説

学資保険の受取人として、契約者本人を指定することもありますが、実際に学校に通う子どもを指定することもあります。誰を受取人に指定するか、どのように保険金を受け取るかによって税金の種類や税額が変わるため、慎重に決めることが大切です。

本記事では、学資保険の受取人を決定する際に知っておきたいポイントをまとめました。さらに、受取人を変更するケースや手続きについても紹介します。

学資保険に関わる3者とは?

保険契約には、次の3者が関わります。

  • 契約者
  • 被保険者
  • 保険金受取人

保険に加入する際には、保険の種類や契約内容、保険金額などを適切に決めることが必要ですが、上記の3者を適切に決定することも求められます。それぞれの役割や決め方などについて、詳しく見ていきましょう。

契約者

契約者(保険契約者)とは、保険契約を締結する方を指します。通常は、保険料を負担する人が契約者となります。

学資保険の場合は、被保険者の親や祖父母が契約者になることが一般的です。ただし、保険会社ごとに契約者の条件が定められているため、確認しておきましょう。

特に注意したいのが、契約者の年齢です。年齢条件によっては、祖父母や親であっても契約者になれない可能性があります。被保険者との関係についても、確認しておくことが大切です。

保険商品によっては、親や祖父母以外でも、一定の親族関係や扶養関係があれば契約者になれることがあります。

被保険者

被保険者とは、保険金支払事由となる方のことです。学資保険では、保険金は子どもが進学・進級したタイミングに合わせて支払われるため、これから高校や大学に進む子どもが被保険者になることが一般的です。

契約者と同様に、保険会社ごとに被保険者の条件も定められています。特に注意したいのが年齢条件です。被保険者が12歳程度まで加入できる学資保険もありますが、2歳程度までしか加入できない保険もあります。学資保険の契約を検討している方は、加入条件を早めに確認しておくことが重要です。

保険金受取人

保険金受取人とは、保険金を受け取る方のことです。学資保険では保険金受取人を子どもに設定できる商品もありますが、契約者が受取人になることが一般的です。

なお、親などの扶養義務者から教育費としてその都度受け取る資金は、必要な範囲であれば贈与税はかかりません。ただし、学資保険金は別の扱いになります。保険料を負担した人と受け取る人が異なる場合は、贈与税の課税対象となることがあります。

また、教育費として受け取った資金でも、預金したり、教育費以外の用途に使った場合は、贈与税の課税対象となることがあるため注意が必要です。

学資保険の保険金受取人について迷った場合は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。

参考:国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」

学資保険の受け取り方と税金

学資保険は、受取方法や受取人によって税金の種類が異なります。主なパターンと税金の種類については、以下のとおりです。

契約者

被保険者

保険金受取人

保険金の受取方法

税金の種類

一括

所得税(一時所得)

年金

所得税(雑所得)

祖父母

孫・孫の親

一括

贈与税

※被保険者は、契約者から見た関係を指します。

税金の種類が変わると、税額も変わる可能性があります。それぞれのケースについて、以下で詳しく見ていきましょう。

【所得税(一時所得)】契約者が一括で保険金を受け取る場合

契約者が被保険者の親で、保険金受取人が契約者と同一の場合は、受け取る保険金は所得税の課税対象となることがあります。また、一括で保険金を受け取る場合は、「一時所得」として扱われます。一時所得の金額の計算式は、以下のとおりです。

一時所得の金額=受け取った保険金額-支払った保険料総額-50万円(特別控除)

例:毎月1万円ずつ保険料を18年間支払い、被保険者である子の大学進学時に280万円の保険金を一括で受け取った。

  • 一時所得の金額=280万円-(1万円×12ヶ月×18年)-50万円=14万円

一時所得には最高50万円の特別控除があるため、ほかに一時所得がない場合は、受け取った保険金額と支払った保険料総額の差額が50万円以下なら課税対象外です。

学資保険では契約時に最終的な保険金額が提示されていることも多いため、あらかじめ保険金額と払込保険料総額の差額が50万円を超える可能性があるかを確認しておくとよいでしょう。

なお、課税対象額は一時所得の金額の2分の1です。上記の場合なら、14万円×1/2=7万円が所得税の課税対象となります。

参考:国税庁「No.1490 一時所得」

【所得税(雑所得)】契約者が年金形式で保険金を受け取る場合

契約者が被保険者の親で、保険金受取人が契約者と同一の場合、保険金を年金形式(分割)で受け取ると、「雑所得」として所得税の課税対象になることがあります。雑所得の金額の計算式は、以下のとおりです。

雑所得の金額=その年に受け取った保険金額-その金額に対応する払込保険料

例:毎月2万円ずつ保険料を10年間支払い、被保険者である子の大学進学時に100万円、2年生・3年生・4年生進学時にそれぞれ50万円の保険金(保険金総額250万円)を受け取る。

  • 保険受取1年目の雑所得の金額=100万円-(2万円×12ヶ月×10年×100万円÷250万円)=4万円

雑所得には特別控除がないため、受け取る保険金の合計額が払込保険料総額よりも1円でも多いと課税対象となります。確定申告の際は、申告が必要となる点に注意が必要です。

なお、給与所得者であれば雑所得は20万円までは申告不要です。上記の場合なら、1年目(雑所得4万円)だけでなく、2年目・3年目・4年目(雑所得はそれぞれ2万円)も申告不要となります。

ただし、申告不要となるのは所得税に関してのみです。住民税については申告の対象となることもあるため、納税する自治体への確認が必要です。

参考:国税庁「No.1500 雑所得」

【贈与税】契約者と受取人が異なり、一括で保険金を受け取る場合

契約者と受取人が異なる場合は、学資保険金は贈与税の課税対象になることがあります。

例えば、孫を被保険者として祖母が契約した学資保険について考えてみましょう。保険金受取人を孫とするならば、契約者と保険金受取人は異なるため贈与とみなされます。課税対象となる贈与額は、次の計算式で求めます。

課税対象となる贈与の金額=その年に受け取った保険金額-110万円(基礎控除額)

例:祖母が学資保険に加入し、被保険者である孫を保険金受取人に指定。孫は大学入学時に200万円の学資保険金を一括で受け取った。

  • 課税対象となる贈与の金額=200万円-110万円=90万円

贈与税の基礎控除額は110万円のため、孫が1年間に受け取る学資保険金が110万円以下に設定すれば、孫が他から受ける贈与がない場合は贈与税の対象とはなりません。

上記の場合なら、大学入学時に100万円、2年目に100万円というように分割して受け取れるように設定することで、贈与税の負担を軽減できる可能性があります。

所得税を計算する場合とは異なり、贈与税の課税対象額を算出する際には支払った保険料総額を差し引きません。そのため、税額も高額になる可能性があります。

贈与税は1年間(1月1日~その年の12月31日)の受取額を基に計算するため、受取時期や受取額を調整できる場合は、何年かに分けて受け取ることも選択肢の一つです。

なお、孫を被保険者として祖父母が契約した学資保険の保険金受取人を「孫の親(祖父母にとって子もしくは子の配偶者)」に指定した場合も、学資保険金は贈与として扱われます。1年間に受け取る贈与額が110万円を超える場合には、贈与税の課税対象となるため注意が必要です。

税金の扱いも含め、学資保険の選び方で迷った場合は、中立的な相談サービスの利用も選択肢の一つです。

参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

学資保険の受取人を誰にするか悩んだときは?

学資保険金の受取人を決める際は、契約者と保険金受取人は同一にすることも選択肢の一つです。契約者と保険金受取人が同一の場合、課税対象となる金額は保険金額から払込保険料を差し引いて求めるため、税負担が軽減されることがあります。

学資保険金を一括で受け取る場合であれば、払込保険料に加えて特別控除額として最大50万円も差し引かれます。

契約者と保険金受取人を被保険者の親とする場合、父親と母親のどちらを設定するかが論点となります。それぞれのケースについて考えていきましょう。

父親が望ましい場合

父親か母親か検討する前に、学資保険の保険料を確認することも重要です。

学資保険の保険料は、契約者の性別と年齢などによって異なります。1ヶ月あたりの保険料の違いはわずかであっても、払込保険料の総額では大きな差となる場合があります。

また、払込免除特約の設定があるかも確認が必要です。払込免除特約とは、契約者が死亡した場合や高度障害状態になった場合に、以後の保険料払込が免除される特約です。学資保険では、払込免除特約を付加できる商品や、あらかじめ付帯されている商品があります。

父親が世帯収入の多くを担っている場合は、父親を契約者兼保険金受取人に設定するケースもあります。契約者が死亡した場合などに払込免除特約が適用される商品であれば、万一の際の教育資金への影響を抑えられる場合があります。

また、契約者を決める際は、月々の保険料だけでなく、契約者の年齢や健康状態、払込免除特約の有無や適用条件も確認しておくことが大切です。

ただし、学資保険の保険料は一般生命保険料控除の対象となる場合があり、ほかの生命保険契約とあわせた年間の支払保険料によっては、控除額の上限に達することがあります。そのため、家計全体の保険加入状況も踏まえながら、契約者を検討することが一つの考え方です。

母親が望ましい場合

父親と母親が同年齢の場合、学資保険では、商品や契約条件によっては、女性が契約者になるほうが、保険料を抑えられる傾向にあります。月々の保険料負担や払込保険料の総額は、契約条件によって異なるため、返戻率もあわせて確認することが大切です。

学資保険では、契約者が死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合などに、その後の保険料の払込みが免除される特約が付いている商品もあります。そのため、母親が世帯収入の多くを担っている場合は、万一の際の教育資金への影響を抑えるための備えとして検討されることがあります。

ただし、母親が学資保険とは別の生命保険に加入している場合は、生命保険料控除の枠を考慮することが必要です。

受取人を誰にするか悩んだ場合は、中立的な相談窓口を利用する方法もあります。

学資保険の受取人は変更できる?

学資保険の保険金受取人は、契約内容や保険会社の手続きに従って変更できる場合があります。次の書類の提出を求められることもあるため、保険会社に確認してから準備しておきましょう。

  • 保険証券(保険の番号などが確認できる書類)
  • 保険契約者の本人確認書類
  • 被保険者の同意を示す書類

保険会社によっては、保険金受取人の変更手続きをインターネットで実施できることもあります。

ここでは、学資保険の受取人を変更する主なケースについて解説します。

契約者が離婚した場合

契約者が離婚し、被保険者と暮らさない場合は、保険金を学資として使えなくなるリスクがあります。学資保険金を子どもの教育資金として活用しやすくするために、保険金受取人を被保険者と暮らす側に変更するケースもあります。

保険金受取人を変更する場合、契約者の変更についても検討が必要となることがあります。また、契約者と保険金受取人が異なると贈与税の課税対象となる可能性もあるため、受取方法についてもあわせて確認しておくことが大切です。

受取人が死亡した場合

保険金受取人が死亡した場合も、保険金受取人と契約者の見直しが必要です。速やかに保険会社に連絡し、新しい保険金受取人の指定手続きを進めましょう。

契約者と保険金受取人が同一の場合、契約者が死亡すると払込免除特約が適用される可能性があります。この場合も自動的に特約が適用されるわけではないため、保険会社への連絡が必要です。

受取人の変更についての疑問や不安がある場合は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。

学資保険の受取人は慎重に決めよう

学資保険の保険金受取人を誰に設定するかによって、税金の種類や額が変わります。保険金額や契約者との関係によっても適切な設定は異なるため、慎重に決定することが大切です。

学資保険についての疑問は、中立的な相談窓口を利用しながら確認することもできます。

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