学資保険の満期保険金にかかる税金は?控除や受取時の注意点も解説

学資保険の満期保険金には、契約内容によって所得税・住民税または贈与税がかかる場合があります。どの税金が課されるかは、保険料負担者と受取人が同一かどうか、また受け取り方法によって異なります。あらかじめ確認しておくことが重要です。
税金の種類と計算方法、確定申告の要否、生命保険料控除の活用方法まで、満期保険金を受け取る前に知っておきたいポイントをまとめて解説します。
学資保険の満期保険金にかかる税金の種類

学資保険の満期保険金にかかる税金は、主に所得税・住民税・贈与税の3種類です。どの税金が課されるかは、保険料負担者と受取人が同一かどうか、また受け取り方法が一括か年金形式かによって決まります。課税区分をまとめると以下のとおりです。
保険料負担者と受取人の関係 | 受け取り方法 | 税金の種類 |
保険料負担者と受取人が同じ | 一括受取 | 所得税(一時所得)・住民税 |
保険料負担者と受取人が同じ | 年金形式 | 所得税(雑所得)・住民税 |
保険料負担者と受取人が異なる | 一括受取 | 贈与税 |
保険料負担者と受取人が異なる | 年金形式 | 贈与税 |
自分の契約がどのパターンに該当するかを確認することが、税負担を正しく把握するための第一歩です。以下では、各税金の概要を順に解説します。
所得税
学資保険の保険料負担者と、保険金の受取人が同一人物である場合には所得税の課税対象となる場合があります。これは、自ら拠出した資金によって得られた利益が、個人の所得として扱われるためです。
所得の区分は、一括で受け取る場合は「一時所得」、年金形式で受け取る場合は「雑所得」として扱われます。所得税は累進税率のため、他の所得と合算した課税所得が増えるほど、税負担が大きくなる傾向があります。
参考:国税庁「所得税のしくみ」
住民税
住民税は、学資保険の保険料負担者と受取人が同一人物の場合に、所得税とあわせて課税対象となる地方税です。
住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があります。所得割は所得金額に応じて増減し、標準税率は10%です。均等割は一定の所得がある人に一律で課されます。
なお、現在は森林環境税(年額1,000円)が個人住民税の均等割とあわせて徴収されています。税額の取扱いは自治体によって異なる場合があります。
満期保険金にかかる税負担を把握する際は、所得税と住民税の両方を合算して考えることが大切です。
贈与税
贈与税は、保険料負担者と満期保険金受取人が異なる場合に課税対象となる税金です。例えば、親が保険料を払い込み子どもが満期保険金を受け取るケースや、父親が保険料を払い込み、母親が受け取るケースなどが該当します。
贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられており、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与の合計額がこれを超えた場合に課税対象となります。
学資保険の満期保険金にかかる税金の計算方法

学資保険の満期保険金にかかる税金の計算方法は、保険料負担者と受取人の関係・受け取り方法によって異なります。具体的には以下の主な3つのパターンに分かれており、それぞれ適用される控除の仕組みや計算方法に違いがあります。
- 保険料負担者と受取人が同一で一括受取の場合
- 保険料負担者と受取人が同一で年金形式で受け取る場合
- 保険料負担者と受取人が異なる場合
以下では、各パターンの計算方法を順に解説します。
保険料負担者と受取人が同じ場合(所得税・住民税)
保険料負担者と受取人が同一の場合、満期保険金は所得税・住民税の課税対象となる可能性があります。受け取り方法が一括か年金形式かによって「一時所得」または「雑所得」に区分され、それぞれ計算方法が異なります。
一時所得には50万円の特別控除と課税対象額を2分の1とする仕組みがある一方、雑所得にはそのような取扱いがありません。受け取り方法の選択が税負担に直結するため、契約内容とあわせて事前に確認しておくことが大切です。
満期保険金を一括で受け取る場合の計算方法
満期保険金を一括で受け取る場合は、一時所得として所得税・住民税の課税対象となる可能性があります。一時所得の金額は、以下の計算式で算出します。
- 一時所得の金額=満期保険金-払込保険料総額-特別控除額(最高50万円)
算出した一時所得の2分の1の金額を給与所得など他の所得と合算した総所得金額に加えて税額を計算します。満期保険金と払込保険料総額の差額が50万円以下であれば一時所得はゼロとなり、課税対象となりません。
具体的な計算例を見ていきましょう。
【ケース1:課税されない場合】
- 払込保険料総額:250万円
- 満期保険金:300万円
このケースにおける課税対象の計算方法は以下のとおりです。
- 満期保険金−払込保険料総額=300万円−250万円=50万円
- 50万円−特別控除50万円=0円
- 0円×1/2=課税対象額0円
この場合、課税対象となる一時所得は発生しません。そのため、この満期保険金に関しては、所得税・住民税はかかりません。
【ケース2:課税される場合】
- 払込保険料総額:200万円
- 満期保険金:300万円
このケースにおける課税対象の計算式は、以下のとおりです。
- 満期保険金−払込保険料総額=300万円−200万円=100万円
- 100万円−特別控除50万円=50万円(一時所得)
- 50万円×1/2=課税対象額25万円
課税対象額25万円を給与所得など他の所得と合算した総所得金額に加えて税額を計算します。
満期保険金を年金形式で受け取る場合の計算方法
満期保険金を年金形式で受け取る場合、雑所得として所得税・住民税の課税対象となる可能性があります。雑所得の計算式は以下のとおりです。
- 雑所得の金額=その年に受け取った金額-その年に受け取った金額に対応する払込保険料
雑所得には、一時所得のような特別控除はありません。算出した雑所得をそのまま給与所得など他の所得と合算し、税額を計算します。なお、年金形式で受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。
具体的な計算例を見ていきましょう。
- 払込保険料総額:250万円
- 受取総額:300万円(75万円×4年間)
このケースにおける雑所得金額は、以下のとおりです。
- 雑所得:その年の受取額−その年の受取額×(払込保険料総額÷受取総額)=75万円−75万円×(250万円÷300万円)=12万5,000円
この12万5,000円を他の所得と合算して税額を計算します。なお、一定の要件を満たす給与所得者は、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。
ただし、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要となる場合があります。
保険料負担者と受取人が異なる場合(贈与税)
保険料負担者と受取人が異なる場合、受け取った満期保険金は贈与税の課税対象となる場合があります。贈与税の計算式は以下のとおりです。
- 贈与税=(受け取った満期保険金−基礎控除110万円)×贈与税率−控除額
なお、年金形式で受け取る場合は、年金を受け取る権利に対して贈与税が課税されます。
贈与税率は、契約者と受取人の関係によって「一般税率」と「特例税率」に分かれます。それぞれの主な適用区分は以下のとおりです。
区分 | 適用されるケース |
一般税率 | 夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与など |
特例税率 | 父母、祖父母などの直系尊属から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子・孫への贈与 |
一般的に、特例税率のほうが同じ課税価格に対して税率が低く設定されており、税負担が軽くなる場合があります。
具体的な計算例として、一般税率が適用されるケースを見てみましょう。
【計算例:親が保険料負担者、未成年の子が受取人の場合】
- 満期保険金:500万円
- 他に贈与はないものとする
このケースにおける贈与税額は、以下のとおりです。
- 課税価格:満期保険金−基礎控除=500万円−110万円=390万円
- 贈与税額:390万円×20%−25万円=53万円
同じ500万円の満期保険金でも、特例税率(直系尊属から18歳以上の子への贈与)が適用される場合は、390万円×15%−10万円=48万5,000円となり、一般税率より税負担が軽くなります。同年中に他の贈与がある場合はそれらも合算して計算する点にも注意が必要です。
満期保険金にかかる税金の考え方や計算方法について詳しく知りたい場合は、必要に応じて中立的な相談窓口で確認する方法もあります。
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
満期保険金の受け取りで確定申告が必要なケース

学資保険の満期保険金を受け取ったすべての方に確定申告が必要なわけではありません。確定申告が必要かどうかは、課税区分と所得の状況によって異なります。主なケースは以下のとおりです。
- 給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合
- 給与収入が2,000万円超の場合
- 贈与税の対象者で年間贈与合計が基礎控除110万円を超える場合
- 自営業者・個人事業主で、満期保険金に係る所得を含めて申告が必要な場合
一般的な給与所得者が満期保険金を一括で受け取り一時所得が生じた場合、その一時所得の課税対象額(2分の1後の金額)を含む、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
保険料負担者と受取人が異なり贈与税の対象となる場合は、その年に受け取った贈与の合計が基礎控除110万円を超えると、贈与税の申告が必要です。満期保険金以外にもその年に贈与を受けている場合は、それらも合算して判断する必要があります。
自営業者や個人事業主は、満期保険金による一時所得や雑所得が生じた場合、原則としてその年の確定申告に含めて申告します。申告が必要なケースに該当するにもかかわらず申告を行わない場合、加算税や延滞税などが生じる可能性があります。
「自分は確定申告が必要なケースに当たるのか」と気になる場合は、一般的な仕組みを相談窓口で確認してみるのも一つの方法です。
参考:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
学資保険の保険料は「生命保険料控除」の対象になる

学資保険の保険料は、「一般生命保険料控除」の対象となる場合があり、申告することで所得税・住民税の負担を軽減できる可能性があります。実際に控除の対象となるかは、保険会社から送付される生命保険料控除証明書で確認しましょう。
生命保険料控除は、納税者が対象となる生命保険料を支払った場合に受けられる所得控除の一つです。
控除額の計算方法は、2011年12月31日以前に締結した契約(旧制度)と2012年1月1日以降に締結した契約(新制度)で異なります。また、申告方法は給与所得者と自営業者で手続きが異なるため、確認しておきましょう。
生命保険料控除の控除額と計算方法
生命保険料控除とは、納税者が対象となる生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。控除を受けることで課税所得が減少し、所得税や住民税の税負担が軽減される場合があります。
生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」があり、2012年1月1日以降に締結した契約は新制度、2011年12月31日以前に締結した契約は旧制度が適用されます。
それぞれ控除の限度額と計算方法が異なるため、自分の契約がどちらに該当するかを保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」などで確認しておきましょう。
控除の限度額
新制度・旧制度それぞれの一般生命保険料控除における控除限度額は以下のとおりです。
種類 | 所得税 | 住民税 |
新制度(2012年1月1日以降締結) | 4万円 | 2万8,000円 |
旧制度(2011年12月31日締結) | 5万円 | 3万5,000円 |
生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3区分に分かれており、区分ごとに控除額を計算したうえで合算します。3区分を合計した適用限度額は所得税で12万円、住民税で7万円です。
学資保険の保険料は一般生命保険料控除の対象であるため、他の生命保険料と合算して控除額を計算する点を押さえておきましょう。実際の適用可否は生命保険料控除証明書で確認することが大切です。
計算方法
払い込んだ保険料の年間合計額に応じて、控除される金額は段階的に変わります。締結時期によって新制度・旧制度のどちらが適用されるかで計算の仕組みが異なるため、自分の契約がいずれに該当するかを確認しておきましょう。
【新制度(2012年1月1日以降に締結した契約)における所得税の控除額】
年間の払込保険料 | 控除額 |
2万円以下 | 払込保険料の全額 |
2万円超〜4万円以下 | 払込保険料×1/2+1万円 |
4万円超〜8万円以下 | 払込保険料×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
【旧制度(2011年12月31日以前に締結した契約)における所得税の控除額】
年間の払込保険料 | 控除額 |
2万5,000円以下 | 払込保険料の全額 |
2万5,000円超〜5万円以下 | 払込保険料×1/2+1万2,500円 |
5万円超〜10万円以下 | 払込保険料×1/4+2万5,000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
払込保険料が上限に達すると控除額はそれ以上増えません。実際に税負担がいくら軽減されるかは、控除額と自身の税率などに応じて変わります。所得税の軽減額の目安は、控除額に自身の所得税率を掛けることで把握できます。
生命保険料控除を受けるための手続き
生命保険料控除は申告を行わないと適用されません。申告方法は給与所得者と自営業者で異なり、給与所得者は年末調整、自営業者や個人事業主は確定申告で手続きを行います。
いずれの場合も、保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」が必要となるため、大切に保管しておきましょう。
控除を申告しない場合、本来受けられる税負担の軽減につながらないことがあります。毎年の申告時に確認しておくことが重要です。
給与所得者の場合
会社員などの給与所得者は、勤務先で行う年末調整の際に申告します。毎年秋頃に勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入し、生命保険料控除証明書を提出します。
なお、最近はインターネット上で控除証明書を発行する保険会社もあるため、保険会社のWEBサイトで確認しましょう。
自営業者の場合
年末調整を受けない自営業者や個人事業主は、確定申告の際に生命保険料控除を申告します。確定申告書の生命保険料控除欄に必要事項を記入し、生命保険料控除証明書を用意して申告します。自営業者は満期保険金にかかる所得の申告も確定申告で行うことがあるため、あわせて手続きを進めましょう。
生命保険料控除の仕組みや控除額の考え方について一般的な情報を整理したい場合は、中立的な相談窓口で確認する方法もあります。
学資保険の満期保険金に関する注意点

学資保険の満期保険金を受け取る際は、受け取り方法や所得の状況によって税負担が大きく変わる点に注意が必要です。
保険料負担者と受取人が同一であれば、一時所得として扱われる一括受取は、特別控除(最大50万円)や課税対象額を2分の1とする仕組みがあるため、年金形式より税負担を抑えられる場合があります。
受け取り方法や契約形態によって課税関係が異なるため、加入時点から契約者・受取人の設定や受け取り方法を確認しておくことが重要です。
税負担は一括受取のほうが軽減されやすい
保険料負担者と受取人が同一の場合、満期保険金を一括で受け取ると年金形式より税負担が抑えられる傾向があります。一括受取では一時所得として50万円の特別控除が適用され、さらに課税対象額が2分の1となる仕組みがあるためです。
一方、年金形式で受け取る場合は雑所得として扱われ、特別控除や課税対象額を2分の1とする仕組みはありません。同じ利益額であっても、一括受取と比べて課税対象額が大きくなるため、税負担が重くなる可能性があります。
受け取り方法によって課税の仕組みが異なるため、事前に違いを理解しておくことが重要です。
自営業者が年金形式で受け取ると税負担が増えやすい
自営業者・個人事業主・フリーランスが学資保険の満期保険金を年金形式で受け取る場合、申告対象となる所得が増えることで税負担に影響が出ることがあります。
給与所得者の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が年間20万円以下であれば原則として所得税の確定申告は不要ですが、自営業者にはこの取扱いはありません。
年金形式で受け取った満期保険金による雑所得は他の所得とあわせて申告対象になるため、結果として税負担に影響が出る場合があります。
受け取り方法によって課税関係が変わるため、加入時から契約内容を確認しておくことが重要です。受け取り方法の検討について不安がある場合は、一般的な考え方を中立的な相談窓口で確認する方法もあります。
学資保険の満期保険金にかかる税金について確認しよう

学資保険の満期保険金にかかる税金は、保険料負担者と受取人が同一かどうか、また受け取り方法が一括か年金形式かによって課税区分が異なります。
保険料負担者と受取人が同一で一括受取の場合は一時所得、年金形式の場合は雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。保険料負担者と受取人が異なる場合は贈与税の課税対象です。なお、年金形式で受け取る場合は、契約内容によって税務上の取扱いが複雑になることがあります。
確定申告の要否については、給与所得者は給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要となり、贈与税の対象となる場合は年間の贈与合計が110万円を超えると申告が必要です。なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要となる場合があります。
学資保険の保険料は一般生命保険料控除の対象となる場合があり、年末調整または確定申告で申告することで税負担を軽減できる可能性があります。実際の適用可否は、生命保険料控除証明書で確認しましょう。
受け取り方法については、一括受取のほうが年金形式より税負担を抑えやすく、年金形式で受け取る場合は申告要否や税負担に注意が必要です。
満期保険金を受け取る前に契約内容と課税区分を確認し、疑問がある場合は中立的な相談窓口で確認する方法もあります。










