孫のために学資保険に加入するのは可能?贈与税や注意点についても解説

祖父母が孫のために学資保険へ加入できるケースはありますが、契約条件や税金の扱いには注意が必要です。学資保険は契約者や受取人の設定によって課税関係が変わるほか、年齢や同居状況などにより加入できる商品が限られる場合もあります。
本記事では、孫のために学資保険へ加入できるのかどうか、また税金の取り扱い、検討時の注意点について解説します。
祖父母が孫のために学資保険に加入することは可能?

学資保険は一般的に親が契約者となるケースが多いものの、一定の条件を満たすことで祖父母が契約者となり、孫を被保険者として加入できる場合があります。
多くの保険会社では、3親等以内の親族や、被保険者を扶養している方であれば契約者になれるとされており、この範囲に祖父母も含まれることがあるためです(※契約条件は保険会社や商品によって異なります)。
ただし、すべてのケースで加入できるわけではありません。保険商品によっては契約者の年齢上限が設けられているほか、孫との同居や扶養関係が求められることもあります。
さらに、契約時には「契約者・被保険者・受取人」の関係を整理しておくことが重要です。これらの設定によって、将来受け取る祝い金や満期保険金の課税関係が変わる可能性があります。
祖父母が契約者となる場合は、単に加入できるかどうかだけでなく、契約形態全体を踏まえて検討することが重要です。
学資保険の種類

学資保険は、教育資金の準備を目的とした保険ですが、「貯蓄性」を重視するタイプと、「保障」を組み合わせたタイプの2つに大きく分けられます。それぞれの特徴を把握しておくことで、目的に応じた選択がしやすくなるでしょう。
以下で詳しく解説します。
貯蓄重視型
貯蓄重視型は、将来の教育資金を計画的に積み立てることを主な目的としたタイプです。毎月一定の保険料を払い込むことで子どもの成長にあわせて進学準備金や満期学資金が受け取れる設計になっており、計画的に資金を準備したい場合に選ばれるケースがあります。
払い込んだ保険料に対してどれだけの割合で進学準備金や満期学資金が受け取れるかが重要なポイントです。返戻率は商品や契約条件によって異なるため、個別の設計内容を確認することが重要です。
保障重視型
保障重視型は、学資保険の本来の目的である教育資金の準備に加えて、親や子どもの死亡保障や医療保障などを組み合わせたタイプを指します。
ただし、保障部分のコストが保険料に含まれるため、貯蓄重視型と比べると返戻率が低くなりやすい傾向がある点は理解しておきましょう。
学資保険は教育資金の準備用途のみと考えるか、一つの保険で教育資金の準備とその他の保障もまとめたいと考えるかによって、どちらのタイプを選ぶかは変わってきます。
受取金額や保険料のバランスは商品や設計によって変わるため、目的に応じた違いを整理しておくことが重要です。内容の理解に迷う場合は、保険に関する相談サービスなどを通じて確認する方法もあります。
学資保険の良い点・注意点

学資保険は教育資金を準備する方法の一つとして利用されることがありますが、仕組みを理解したうえで検討することが重要です。
ここでは、学資保険について一般的に挙げられる良い点と注意点について解説します。
良い点
学資保険の良い点として、毎月一定額の保険料を払い込むことで進学時期にあわせて資金を受け取れる設計となっており、計画的に教育資金を準備しやすい点が挙げられます。
教育資金は、決して安いものではありません。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額は以下のとおりです。
進学パターン | 学習費総額 |
すべて公立(幼稚園~高校) | 約614万円 |
幼稚園のみ私立 | 約664万6,000円 |
高校のみ私立 | 約787万7,000円 |
幼稚園・高校が私立 | 約838万3,000円 |
小学校のみ公立 | 約1,142万8,000円 |
すべて私立 | 約1,968万9,000円 |
私立と公立では、学習費に大きな差があることがわかります。幼稚園から高校まですべて公立の場合、トータルの学習費は約614万円ですが、すべて私立の場合、高校までで2,000万円近くなっており、約3倍の差が見られます。
高校卒業後に大学や専門学校に進学する場合は、さらなる教育資金が必要になる場合があります。そのため学資保険は、子どもの進路の選択肢を広く持つための方法の一つとして検討されることがあります。
また、学資保険の多くは、契約者に万一のことがあった場合、その後の保険料の払い込みが免除されつつ、予定されていた祝い金や満期保険金が受け取れる仕組みが設けられています。
このような仕組みは、親や祖父母などに想定外の事態が生じた場合の教育資金確保に配慮された設計といえるでしょう。
参考:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要【令和8年1月16日差替】」
注意点
学資保険は途中で解約した場合、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回る、いわゆる元本割れとなる可能性があります。契約期間が長期にわたることから、途中で資金が必要になった場合の柔軟性は限定される点に留意が必要です。
また、学資保険は契約時に設定した内容に基づいて資金を準備していく仕組みのため、途中で進路や必要な教育資金の水準が変わった場合でも、受取時期や金額を柔軟に調整することが難しいケースがあります。
さらに、学資保険の祝い金や満期保険金は、契約者と受取人の設定によっては税金の課税対象となる場合があります。特に祖父母が契約者となる場合は、保険料負担者と受取人の関係によって課税区分が変わることもあるため、事前に仕組みを理解しておくことが重要です。
孫のために学資保険への加入を検討する際の注意点

祖父母が契約者となり、孫のために学資保険へ加入する場合には、一般的な契約とは異なる条件や手続きが求められることがあります。
加入の可否だけでなく、契約時の要件や家族間での合意など、以下のような事前に確認しておきたいポイントがあるため、注意が必要です。
- 孫の親権者の同意が必要になる
- 年齢や健康状態によっては加入できない可能性がある
- 加入時の年齢によっては保険料が高額になるケースがある
- 同居や扶養が条件とされることがある
それぞれについて、詳しく紹介します。
孫の親権者の同意が必要になる
多くの学資保険では、祖父母が契約者となる場合であっても申込書の親権者同意欄への署名などを通じて、孫の親権者(通常は父母)の同意が必要とされています。
このため、祖父母の単独判断で父母に内緒のまま契約することは難しい場合があります。祖父母が孫のために学資保険への加入を検討する際には、事前に親子三世代、少なくとも親世代とは教育資金の方針を話し合っておくことが重要です。
年齢や健康状態によっては加入できない可能性がある
学資保険では、契約者である祖父母の年齢・健康条件にも制限が設けられているのが一般的です。そのため、祖父母が高齢の場合や持病がある場合には加入できない、あるいは選べる商品が限られるケースもあります。
特に、保険料払込期間や払込免除特約の設定上、一定年齢までに払い込みを完了することが条件となる商品もあるため、祖父母が契約者になる場合は早めの検討が大切です。
加入時の年齢によっては保険料が高額になるケースがある
契約者(祖父母)の年齢が高い場合、死亡や所定の高度障害状態になるリスクの高さを反映して、親が学資保険に加入するときよりも保険料が割高になる可能性があります。この点は祖父母における学資保険加入時に注意しておきたいポイントです。
また、高齢である場合は払込期間が短く設定されることになるため、1回あたりの保険料負担が増える傾向があります。その点を理解したうえで、無理のない支払い計画を立てる必要があるでしょう。
同居や扶養が条件とされることがある
保険会社によっては、祖父母が契約者となる学資保険について、孫と同居していることや実際に扶養していることを契約条件とする商品があり、その証明書類の提出を求められるケースもあります。
これは、保険契約者が被保険者と一定の生活関係にあることを前提としているためです。別居で扶養関係が確認できない場合には申し込み自体が認められない、あるいは審査が厳しくなる可能性もあります。
祖父母が学資保険の契約者となる場合は、年齢や健康状態、親権者の同意など、事前に確認しておきたい条件があります。また、契約内容によっては将来の資金計画や課税関係にも影響するため、加入前に全体像を把握しておくことが重要です。
不明点がある場合には、相談サービスを通じて複数の情報を比較しながら確認することも選択肢の一つです。
学資保険の祝い金・満期保険金には税金がかかる場合がある

学資保険の祝い金や満期保険金は、受け取る際に税金の対象となる場合があります。課税の有無や税目は、契約者(保険料負担者)と受取人の関係によって異なるため、契約時に確認しておくことが重要です。
ここでは、所得税と贈与税がかかるそれぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
所得税がかかるケース
契約者(保険料負担者)と受取人が同一人である場合、学資保険の満期保険金や祝い金は原則として一時所得として所得税・住民税の課税対象となる場合があります。
一時所得は「(受け取った保険金等-払込保険料-特別控除50万円)÷2」で課税所得を計算する仕組みであり、多額の満期金を受け取る場合には課税が生じる可能性がある点を理解しておきましょう。
また、祝い金や満期金を分割して受け取る「学資年金」の場合は、雑所得になるため課税額の計算方法が異なります。この場合、その年に受け取った給付金額-受取給付金に対応する払込保険料が雑所得の課税対象額です。払込保険料は年金年額×(払込保険料総額÷総支給見込額)で求められます。
参考:国税庁「No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
参考:国税庁「No.1500 雑所得」
贈与税がかかるケース
契約者(保険料負担者)と受取人が異なる場合には、保険金の受け取りは贈与とみなされることがあります。例えば、祖父母が保険料を支払い、受取人を孫やその親に設定しているケースなどです。
この場合、受け取った保険金の金額によっては贈与税がかかる可能性があります。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、受取額がこの範囲を超えるかどうかが一つの目安になります。
ただし、贈与がほかにもある場合は合算して判断することになるため、注意が必要です。贈与税額は、「(受け取った祝い金や満期保険金-基礎控除110万円)×税率-控除」で求められます。
学資保険の祝い金や満期保険金は、契約者と受取人の関係によって課税の扱いが変わる場合があるため、どのようなケースでどういった税金がかかる可能性があるのかを理解しておくことが大切です。
保険金の受け取り方法による税金の考え方の違いや、どの程度の保険金の金額になると注意が必要なのか確認しながら保険を検討したい場合は、専門家に相談して自身に適したプランや商品を選定する方法もあります。
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
税金がかからない教育資金の負担方法はある?

学資保険以外にも、祖父母が孫の教育資金を支援する方法はいくつかあります。資金の渡し方によっては贈与税の対象とならないとされるケースもあり、それぞれ仕組みや注意点が異なります。
単に非課税枠を利用するだけでなく、どのような形で資金を渡すかを理解しておくことが重要です。
暦年贈与
暦年贈与は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の総額が110万円以内であれば、贈与税の課税対象とならない仕組みです。この枠を活用することで、毎年一定額を積み重ねながら教育資金を準備する方法が考えられます。
例えば、祖父母が孫名義の口座に毎年資金を移すことで、将来の学費に備えるケースが挙げられます。ただし、この場合は「実際に贈与が成立しているか」が重要とされており、贈与であることを孫本人が認識していない場合は贈与と判断されない可能性もあります。
孫が成人の場合、孫本人が贈与の認識を持つように事前にコミュニケーションを図る必要があると考えられます。孫が未成年者の場合は、親権者の同意があれば問題ありません。
また、毎年同額を継続して贈与している場合には、110万円以下であっても「定期贈与」とみなされる可能性がある点にも注意が必要です。あらかじめ総額や期間が決まっていると判断されると、一括で贈与したものとして扱われるケースも考えられます。贈与の都度、贈与契約書を作成するなど、実態を明確にしておくことが重要です。
なお、「110万円以下」という基準は、学資保険のみでなく贈与の総額で考えます。そのため、ほかの贈与(現金・不動産など)も含めた年間合計額の管理が大切になります。
教育費が必要なタイミングでの都度贈与
学費や入学金などの教育費を必要なタイミングで祖父母が負担する場合、また教材費、文具費などを負担する場合は、社会通念上相当と認められる範囲であれば贈与税の対象とならないとされています。
この方法は、暦年贈与のような金額上限に縛られず、実際にかかった教育費をその都度負担できる点が特徴の一つです。特に、入学金や授業料などまとまった支出が発生するタイミングでは、有効な資金移転の方法として考えられます。
一方で、対象となるのはあくまで教育に必要とされる費用に限られます。学習塾や習い事の費用については教育費として認められる場合がありますが、娯楽性の高い支出や生活費に該当するものは対象外と判断される可能性もあります。
そのため、税務上の確認に備えて、領収書や支払い記録を保管しておくことが大切です。
教育資金の準備方法には、学資保険のほかにも暦年贈与や都度負担といった方法があります。それぞれ非課税となる条件や管理方法が異なるため、仕組みを理解したうえで検討することが重要です。
家族の状況や資金計画に応じて、相談サービスを通じて複数の方法を比較しながら確認することも、一つの考え方といえます。
教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置は2026年3月末で終了

教育資金の準備方法として、受贈者の直系尊属が教育資金を一括で贈与する場合、一定額まで贈与税が非課税とされる制度が設けられていました。
それが「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。この制度では、贈与契約書を作成のうえで贈与者は金融機関に専用の教育資金口座を開設し、贈与資金を預け入れます。
受贈者は金融機関に教育資金非課税申告書を提出することで、1,500万円までは贈与税が非課税となる仕組みです。受贈者は、領収書を金融機関に提出したうえで教育資金口座からお金を引き出すことが可能です。
この制度が利用できる贈与者は、父母や祖父母などの直系尊属に限られます。
なお、この非課税措置は2026年3月末までの贈与が対象です。
参考:国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」
税金面も踏まえて孫のための学資保険を検討しよう

祖父母が孫のために学資保険へ加入することは、一定の条件を満たすことで可能とされています。ただし、契約者の年齢や健康状態、親権者の同意などの要件が設けられている場合があり、誰でも同じ条件で加入できるとは限りません。
また、契約者と受取人の設定によっては、祝い金や満期保険金に贈与税や所得税が関係する場合があります。孫のための資金準備であっても、契約内容や保険金額によって課税の考え方が変わる点には注意が必要です。
さらに、学資保険以外にも、暦年贈与や教育費の都度負担といった方法があり、それぞれ資金の渡し方や税金の取り扱いが異なります。どの方法が合っているかは、家族構成や資金計画によって変わります。
孫の将来に備えた教育資金の準備を検討する際には、加入の可否だけでなく、契約条件や税金の取り扱いも含めて理解しておくことが重要です。
必要に応じて、ファイナンシャルプランナーのような専門家に相談できる窓口などで一般的な保険の考え方やプランの組み方を確認するのも一つの方法といえるでしょう。










