生命保険(死亡保険)

70歳以上の人に生命保険は必要か?高齢者の保険の見直し方・選び方

70歳以上の人に生命保険は必要?

70歳以上の人に生命保険が必要かどうかは、一概にはいえません。保険の必要性は、一人ひとりの貯蓄額や収入額、家族構成や健康状態により異なるためです。

ここでは、70歳以上の保険加入率や入院患者数、公的医療制度から、生命保険が必要かどうかを解説します。

70歳以上の保険加入率

公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度『生命保険に関する全国実態調査』」によると、世帯主が70〜79歳の生命保険・個人年金保険の世帯加入率は約90%です。

世帯主の年齢が80歳以上になると加入率は60〜70%台まで下がるものの、一定割合の世帯で加入が続いており、高齢者の多くが保険加入の必要性を感じていると考えられます。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度『生命保険に関する全国実態調査』(2025年1月発行)」

年齢とともに増加する入院患者数

厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」によると、医療施設の入院患者数は、60~69歳が約14万5,000人であるのに対し、70〜79歳は約28万5,000人、80〜89歳は約35万人と、年齢とともに増加しています。

また、70歳以上は重症度でみると「生命の危険がある」と判断された入院患者の割合が増える傾向にあります。

これらのデータから、70歳以上は病気や入院のリスクが高まり、症状が重篤化するケースも増える傾向にあるため、生命保険による医療費負担への備えを検討する必要性は高いといえるでしょう。

参考:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」

70歳以上の人が利用できる公的医療制度

日本では、すべての国民に公的医療保険への加入が義務付けられており、病院で治療を受けたり、薬の処方を受けたりしたときの自己負担額が軽減されます。

ここでは、70歳以上の人が利用できる公的医療制度について解説します。

70歳以上75歳未満の負担割合は原則2割

70歳以上75歳未満の人が、医療機関で治療や診療を受けた際の自己負担割合は、原則として2割、ただし、現役世代と同等の所得がある場合に限り3割です。

70歳以上75歳未満

一般所得者等:2割負担

現役世代と同等の所得がある者:3割負担

年齢が75歳に達すると、自己負担割合は原則として1割に引き下げられます。ただし、75歳以上であっても、一定以上の所得がある人は2割負担、現役世代と同程度の所得がある人は、3割負担となる点に注意が必要です。

75歳以上

一般所得者等:1割負担

一定以上所得者:2割負担

現役世代と同等の所得がある者:3割負担

参考:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」

高額医療費の負担を軽減する高額療養費制度

入院が長引いた場合など、高額な医療費が生じた際には、高額療養費制度を利用できます。高額療養費制度とは、1ヶ月間に支払った医療費が一定の上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。

上限額は年齢や所得により異なり、70歳以上は所得区分によって、1ヶ月あたりの上限額が次のとおり定められています。

適用区分

所得の目安

外来(個人ごと)

ひと月の上限額(世帯ごと)

現役並み

年収約1,160万円~

252,600円+(医療費-842,000)×1%

年収約770万~約1,160万円

167,400円+(医療費-558,000)×1%

年収約370万~約770万円

80,100円+(医療費-267,000)×1%

一般

年収156万~約370万円

18,000円

(年144,000 円)

57,600円

住民税非課税世帯等

住民税非課税世帯Ⅱ

8,000円

24,600円

住民税非課税世帯

(年金収入80万円以下など)

15,000円

ただし、医療費が高額になった場合でも、入院時の食費や差額ベッド代(個室や少人数部屋を希望する際にかかる費用)などは、高額療養費制度の適用外です。

これら、入院時にかかる費用へ備えるためにも、生命保険の必要性は高いと考えられます。

参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

公的医療保険の対象外になる費用

公的医療保険は、幅広い医療費に対応している手厚い社会保険制度です。しかし、すべての治療を対象にしているわけではありません。例えば、次のような費用は公的医療保険の対象外です。

  • 差額ベッド代
  • 通院や入院時の交通費
  • 自由診療の費用(国内未承認の治療法や薬を用いた診療)
  • 先進医療の技術料
  • 付添人の宿泊費
  • 診断書作成費用

入院や通院が長引けば、これら公的医療保険の対象外の費用が高額となることも考えられます。生命保険に加入しておけば、保障内容により対象外の費用分を補うことが可能です。

生命保険が必要か迷った場合は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。当社でも保険に関するご相談を受け付けていますので、ご希望の方は、以下「auマネープラン相談」の案内ページをご確認ください。

70歳以上でも加入できる可能性がある生命保険の種類

70歳以上の人でも、医療保険(がん保険)や死亡保険、民間介護保険、個人年金保険など、加入できる可能性のある生命保険があります。

ここでは、各保険商品の概要と必要性、加入時のポイントについて解説します。

医療保険(がん保険)

医療保険は、病気やケガによる入院や手術の費用負担に備えるための保険です。一方のがん保険は、がんによる入院や手術、放射線治療、抗がん剤治療など、がん治療への備えに特化した保険です。

70歳を超えると、生活習慣病やがんなどの健康リスクが高まるため、医療保険やがん保険に加入しておくことで、治療にかかる医療費負担に備えられます。

ただし、保険加入時には健康状態に関する告知が必要なため、持病や既往歴がある人の場合、必ずしも通常の保険に加入できるわけではありません。

そのような場合でも、加入を検討しやすいのが、引受基準緩和型や無選択型の医療保険です。ここでは、引受基準緩和型と無選択型の医療保険について解説します。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型保険は、加入時の告知項目を減らすことで、通常の医療保険より引受基準を緩和した保険商品です。健康状態の告知項目は3~5項目程度に限定されている商品が多く、70歳以上で持病や既往歴がある人でも加入を検討できる可能性があります。

一方、引受基準緩和型保険は、通常の医療保険に比べて保険料が割高に設定される傾向があります。また、加入から一定期間は入院給付金や手術給付金などの給付額が削減される商品も少なくありません。

加入を検討する場合は、保障内容と保険料のバランスを確認し、無理なく継続できるか見極めることが大切です。

無選択型保険

無選択型保険は、保険加入時に健康状態の告知や医師による診査を必要としない保険商品です。年齢などの条件を満たせば申し込みできるため、70歳以上で病気を治療中の人にとっても検討しやすい保険といえます。

ただし、加入のハードルが低い分、保険料は引受基準緩和型保険よりも割高に設定されている商品がほとんどです。また、加入から一定期間(90日間など)は保障対象外、または給付額が削減される商品が多く、必ずしも必要な保障が得られるとは限りません。

加えて契約前からの持病・既往症の悪化による入院・手術は保障対象外となる商品が一般的です。

保障内容や条件をよく確認し、必要最低限の備えとして加入を検討するのがよいでしょう。

死亡保険

死亡保険とは、被保険者が死亡したとき、または所定の高度障害状態に該当したときに保険金が支払われる生命保険商品です。

死亡保険で受取人を指定しておけば、手続きから数日後に保険金が支払われるケースも多いため、遺族への保障だけでなく、葬儀費用への備えにも活用できます。

死亡保険は主に以下の3つのタイプに分かれるため、目的に応じて加入を検討するのがよいでしょう。

  • 定期死亡保険
  • 終身死亡保険
  • 収入保障保険

ここでは、死亡保険のタイプとそれぞれの内容について解説します。

定期死亡保険

定期死亡保険とは、一定期間のみを保障対象にした死亡保険です。契約時に定めた一定期間内に死亡、または所定の高度障害状態に該当した場合に保険金が支払われます。保障期間が限られている分、終身保険に比べて保険料を抑えやすく、解約返戻金がない掛け捨て型が一般的です。

なお、定期死亡保険は、保険期間によって「全期型」と「更新型」の2種類に分かれます。全期型は、あらかじめ定めた保険期間が満了すると保障が終了するため、必要な期間だけ保障を確保したい人に向いた商品です。

一方、更新型は「10年」「15年」など一定期間ごとに契約を更新できる商品です。ただし、更新時にはその時点の年齢や保険料率に基づいて保険料が再計算されます。そのため、年齢が上がるにつれて保険料が高くなる可能性がある点に注意が必要です。

終身死亡保険

終身死亡保険は、保障が一生涯続くタイプの生命保険です。定期死亡保険のように保障期間が限定されないため、葬儀費用やお墓代などを自分で準備したい人に向いています。

終身死亡保険の保険料の払い込み方法は、一定期間または一定年齢まで払い込みを終える「有期払い」と、一生涯にわたって払い込みが続く「終身払い」があります。

有期払いは、毎月の保険料が高めになるものの、早い段階で払い込みを終えられるといった点があります。終身払いは毎月の保険料負担を抑えやすい反面、長期間にわたって払い込みを続ける必要があります。

終身死亡保険は途中で解約した場合に、解約返戻金を受け取れるのが一般的です。解約時期によっては返戻金が払込保険料を下回り、元本割れすることもあるため、長期的な視点で加入することが大切です。

収入保障保険

収入保障保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、毎月一定額の保険金(年金)が支払われる死亡保険です。

一般的な死亡保険(定期死亡保険や終身死亡保険)と異なり、年金形式で保険金が支払われるため、遺された家族に対し遺族年金に上乗せする形で生活資金を確保したい人に向いた保険といえます。

一方、収入保障保険は保険期間が経過するにつれて、保険金の受取総額は徐々に減少します。保険期間の満了が近づくにつれて年金の受取期間が短くなり、受取総額が減少する仕組みのため、一般的な死亡保険に比べて保険料が割安なことがあります。

民間介護保険

民間介護保険は、生命保険会社などの民間企業が取り扱う任意加入の保険商品です。公的な介護保険を補完する形で、介護費用に備えることを目的としています。高齢化が進む現代において、民間介護保険は重要性が増していくと考えてよいでしょう。

ここでは、公的介護保険との違いや民間介護保険の必要性について解説します。

公的介護保険との違い

民間介護保険と公的介護保険には、制度の仕組みや給付内容に大きな違いがあります。

公的介護保険は、原則として40歳以上の人が加入し、要介護または要支援の認定を受けた場合に利用できる制度です。給付は現金ではなく、デイサービスや訪問介護、施設入所など介護サービスが中心となっています。

一方の民間介護保険は、生命保険会社などが取り扱う任意加入の保険商品です。給付内容や条件は商品ごとに異なりますが、要介護状態になった場合に、一時金や年金として給付金が支払われるのが一般的です。

給付金の使い道に決まりはなく、介護サービス費用だけでなく、生活費や住宅改修費、家族の負担軽減などにも充てることができます。

民間介護保険の必要性

内閣府の調査によると、2023年(令和5年)における65歳以上の人口は3,623万人、総人口の29.1%を占めています。また、2070年(令和52年)には65歳以上人口の割合が38.7%、75歳以上人口の割合は25.1%に達する予想とされており、介護を必要とする人は今後ますます増えると見込まれています。

実際に、厚生労働省の発表でも、近年は介護サービス受給者数や介護費用総額が年々増加傾向にあります。年齢別に見ると、介護サービスの受給者数は70代以降から大きく増加しており、介護費用は誰にとっても身近な問題といえるでしょう。

また、公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、介護が必要と考える期間は平均181.5ヶ月(約15年1ヶ月)と長く、長期にわたる資金準備が必要になるケースも想定しておきたいところです。

これらの調査結果から、民間介護保険の必要性は年々高まっているといえるでしょう。

参考:内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」
参考:厚生労働省「介護給付費等実態統計月報(令和7年4月審査分)」
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」

個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金を補うことを目的にした保険商品です。商品や保険料の支払い方などにより異なるものの、契約時の年齢上限は積立型の保険で60~70歳、一時払型の保険で70~80歳とする生命保険会社がほとんどです。

個人年金保険は貯蓄性を備えたタイプもあり、資産形成に向いた商品ですが、中途解約時には解約返戻金が払込保険料総額を下回り、実質的に元本割れする可能性があるため注意が必要です。

ここでは、個人年金保険の2つのタイプである積立型と一時払型について解説します。

積立型

積立型の個人年金保険は、老後資金の準備を目的とした貯蓄性の高いタイプもある保険商品です。

年金受取開始前に被保険者が死亡した場合には、払い込んだ保険料に応じた死亡給付金が支払われます。

また、高度障害状態になった場合は、以後の保険料払込みが免除され、契約はそのまま継続し、将来年金を受け取ることができます。一方、途中で解約した場合には解約返戻金を受け取れます。また、年金受取開始時には年金として受け取るほか、一時金として受け取ることも可能です。

ただし、積立型の個人年金保険は契約時の年齢上限が60~70歳に設定されている商品が多く、70歳以上の人が加入できる商品は限られます。

中途解約による元本割れリスクもあるため、商品選びだけでなく加入プランも慎重に検討した方がよいでしょう。

一時払型

一時払型の個人年金保険は、加入時に保険料を一括で支払い、据置期間経過後(年金受取開始時)に年金形式で受け取る保険商品です。定期的に一定額の年金を受け取れるため、生活費だけでなく、趣味や介護費用など、幅広い用途で利用しやすい点が特徴の一つとされています。

年金受給開始前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金は、契約者と被保険者が同一で、受取人が法定相続人の場合、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の対象となるため、相続対策としても活用できます。

契約時の年齢上限は70~80歳の商品が多く、70歳以上でも検討しやすいでしょう。一方で外貨建て商品も多いため、為替変動リスクなどの商品特性を理解したうえで加入する必要があるでしょう。

これから生命保険の加入を検討している人は、相談窓口の利用も一つの方法です。当社でも保険に関するご相談を承っていますので、「auマネープラン相談」の以下案内ページをご参照ください。

70歳以上の保険の見直し方・選び方のポイント

長期間加入している生命保険がある人は、ライフステージに応じた見直しが必要なケースもあります。

ここでは、70歳以上のシニア世代が加入中の保険を見直すとき、または新たに保険加入を検討するときにおさえておきたいポイントについて解説します。

保険加入の目的を明確にする

まず、保険加入の目的を明確にすることが大切です。例えば、万が一に備えて葬儀費用を確保したいのか、病気やケガに備えて医療保障を手厚くしたいのかによって、選ぶ保険の種類は異なります。

目的を明確にしないまま商品を選ぶと、必要なときに十分な保障が得られず、保険料が無駄になるケースも少なくありません。

一般的に70歳以降は保険料が高くなりやすいため、「何のために備えるのか」「どこまで保障が必要か」を整理し、必要最低限かつ目的に合った商品を選ぶことが大切です。

保障内容や保険料を確認する

保険を見直す際は、保障内容や保険料を確認することも大切です。子どもが独立した後であれば、高額な死亡保障が不要なケースも少なくありません。家計や資産状況に応じて、死亡保障を減額できる可能性もあります。

医療保険は公的保障で足りない医療費を補うため、入院や手術に備える基本的な保障を中心に、がんなど重大疾病への備えを充実させる必要があるでしょう。

「保険を見直したい」「保障を充実させたい」とお考えの人は、相談窓口を利用することで、一般的な考え方の確認に役立つ場合があります。ご希望の方は、以下「auマネープラン相談」の案内ページをご確認ください。

生命保険の加入が向いている70歳以上の特徴

生命保険は、万が一の際や高額な医療費負担に備えるための商品です。すでに十分な保障を確保できている人は、新たに生命保険へ加入する必要性は低いと考えられます。

一方、十分な収入や資産がなく、入院や手術などの医療費負担に不安がある人は、生命保険の加入を検討する必要があるでしょう。

また、遺された家族の経済的負担を減らしたい人、一定の資産を残したいと考える人も生命保険の加入を検討する余地があるといえます。

これから生命保険へ加入するかお悩みの人は、中立的な相談機関で確認する方法もあります。当社でも保険に関するご相談を受け付けていますので、ご希望の方は、以下「auマネープラン相談」の案内ページをご確認ください。

70歳以上の生命保険は個々の状況に応じて必要か判断しよう

70歳以上の人にとって生命保険が必要かどうかは、貯蓄や収入、家族構成などにより異なります。子どもが独立し、高額な死亡保障が不要になる人がいる一方で、十分な貯蓄や収入がないため、医療費や介護費用の負担に不安を抱える人もいるでしょう。

保険の加入を検討する際は、保険料と保障のバランスが大切です。特に、70歳以上の人は保険料が割高になるケースも多く、家計負担が大きくならないように、必要最低限かつ目的に合った商品を選ぶ必要があります。

「今の保障で十分か」「保険を見直す必要があるか」とお悩みの人は、相談窓口を利用しながら検討することもできます。当社でも保険に関するご相談を受け付けていますので、ご希望の方は、以下「auマネープラン相談」の案内ページをご確認ください。

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