生命保険(死亡保険)

バセドウ病の患者は生命保険に加入できる?基準や選び方、治療費を解説

バセドウ病に限らず、治療中あるいは過去に罹患した病気がある方は生命保険への加入が難しくなることがあります。しかし、必ずしも加入できないわけではないため、ご自身の状況に合った保険を見つけることが大切です。

本記事ではバセドウ病患者は保険に加入できるのか、医療保険とがん保険、死亡保険に分けて解説します。また、加入が難しくなるケースや加入時の注意点、医療費の負担軽減に活用できる公的制度も紹介するので、ぜひご覧ください。

バセドウ病とは?

バセドウ病とは、自己免疫の異常により甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンの合成・分泌が過剰になることで、血液中の甲状腺ホルモンが増加する疾患です。

甲状腺機能亢進症を引き起こす原因として多い病気のひとつです。女性に多く見られる病気で、患者数は男性の約4倍といわれています。

バセドウ病は20~50代の方が発症することが多い病気です。罹患すると、動悸(頻脈)や疲れやすさ、体重減少、発汗過多などの症状により、日常生活に支障が生じることもあります。

なお、日本では病気を研究・発表したドイツ人医師の名前にちなんでバセドウ病と呼ばれていますが、英語圏ではイギリス人医師の名前にちなんでグレーブス病と呼ばれています。

バセドウ病の原因

バセドウ病の原因としては、自己免疫の異常を背景に、遺伝的要因や環境要因、あるいはその両方が関与しているといわれています。

直接の原因となる遺伝子はまだ見つかってはいませんが、バセドウ病に罹患している方の血縁者にもバセドウ病を発症している人が見られることは珍しくありません。また、精神的・身体的ストレスや出産、喫煙などもバセドウ病の発症と関係があるとされています。

バセドウ病の症状

バセドウ病の主な症状には、次のものが挙げられます。

  • 頻脈
  • 手の震え
  • 体重減少
  • 多汗
  • 眼球突出

また、不整脈(心房細動)などの循環器系の症状が現れることがあるほか、食欲亢進や下痢、肝障害といった消化器症状、脱力や筋力低下などの神経症状・筋症状が見られる場合もあります。

特に眼球突出は、バセドウ病に合併することのある特徴的な症状のひとつで、「バセドウ眼症」とも呼ばれます。

バセドウ病の治療

バセドウ病の主な治療法は次の3つです。

  • 薬物療法
  • アイソトープ治療法
  • 手術療法

患者さんの症状や医師の判断により、適切な治療法が選択されます。薬物療法は、プロピロチオウラシルやチアマゾールなどの抗甲状腺薬や無機ヨウ素を用いる療法です。

通常は抗甲状腺薬を用いて治療を開始しますが、甲状腺ホルモンの分泌量を低下させるまでに時間がかかるため、無機ヨウ素を併用することもあります。

アイソトープ治療法は、アイソトープのカプセルを服用する療法です。薬物療法と比べると実施できる医療機関が限られていますが、副作用や合併症が少ない方法として選択されることがあります。

ただし、放射線を使用するため、妊娠中や授乳中、妊娠の可能性がある場合などは実施できません。医療機関によっては、外来だけでなく入院して治療を行うこともあります。

手術療法は、甲状腺の一部または全部を摘出する外科的治療です。抗甲状腺薬により深刻な副作用が生じた場合や腫瘍を合併している場合、バセドウ眼症の状態が深刻な場合などに選択されることがあります。

手術後は甲状腺ホルモン薬の補充が必要になる場合がありますが、バセドウ病の再発率を下げられるという利点もあります。

バセドウ病の治療費の目安

バセドウ病の治療費は、療法や検査の種類などによっても異なります。おおよその目安は以下をご覧ください。

【バセドウ病の治療費の目安(3割負担の場合)】

薬物療法

1回(1ヶ月)あたり約1,800~5,500円(診療費、薬代)

アイソトープ治療法

約4万円

手術療法

約12万~50万円(全摘、入院)

治療費は入院日数や保険適用割合などによっても異なるため、医療機関で確認しておくことが大切です。

バセドウ病の治療期間の目安

薬物療法の治療期間は、医療機関の方針や重症度、検査値の推移などによっても異なります。

最低でも1~2年程度の服薬が必要とされる医療機関もあれば、2年の服薬後に経過観察を2年間実施するため、合計4年間かかるとしている医療機関もあります。

いずれも患者さんの症状によって前後するため、医師が「治療継続が必要」と判断する限りは継続することが大切です。

バセドウ病患者は生命保険に加入できる?

バセドウ病に限らず、持病や既往歴がある場合、生命保険の加入にあたって保険会社による個別の審査が行われ、条件が付いたり、選択できる保険商品が限られたりすることがあります。

バセドウ病の治療費に備えておきたい方は、健康状態に問題がないときから保険に加入しておくようにしましょう。

また、特にバセドウ病は再発や経過観察が必要となることがある疾患であり、合併症を発症する可能性もあるため、治療中あるいは過去に罹患したことがある場合には、保険会社の審査により、甲状腺に関する疾病について一定期間保障対象外とする「特定部位不担保」が付されることもあります。

一般的な生命保険に加入できないときは、保険料は割高になりますが、告知項目が少ない「引受基準緩和型保険」や告知なしに加入できる「無選択型保険」も検討してみましょう。

医療保険

バセドウ病の治療中あるいは罹患歴がある方が医療保険に申し込む場合、甲状腺に関しては、特定の部位に関する保障が適用されない「特定部位不担保」となる可能性があります。

なお、「特定部位不担保」が付いた条件で保険に加入する場合、恒久的に条件が適用されるわけではありません。一定期間が経過した後に、再発がなく治療状況が安定しているなど保険会社の定める条件を満たせば、特定部位不担保が見直され、解除されることがあります。

ただし、不担保となる年数や解除の可否は保険会社によって異なるため、複数を比較してから加入する医療保険を決めるようにしましょう。

がん保険

バセドウ病とがんとの間に直接的な因果関係は明らかではなく、保険会社によっては、バセドウ病の治療中あるいは罹患歴があっても、がん保険の加入には影響が生じないことがあります。

ただし、バセドウ病以外の病気の治療をしている場合や他の罹患歴がある場合は、がん保険の加入が難しくなる可能性があります。加入可否の判断は保険会社によっても異なるため、条件に合わないときは別の保険を検討してみましょう。

死亡保険

バセドウ病の治療中あるいは罹患歴がある場合、保険会社の審査結果によっては、死亡保険に加入できても保険料の割増や保険金額の制限などが提案されることがあります。対応は保険会社によって異なるため、複数の保険商品を比較してから加入するようにしましょう。

生命保険についてより詳しく知りたい方は、ファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。「auマネープラン相談」ではファイナンシャルプランナーが、「持病がある」「過去に入院・治療をしていた」などの個々の状況に合わせた保険選びをサポートいたします。

保険加入が難しくなるケース

次のケースでは、保険加入が難しくなることがあります。

  • バセドウ病の治療中である
  • バセドウ病により入院後1年が経過していない

それぞれのケースについて見ていきましょう。なお、保険会社や保険商品、治療状況によって判断は異なるため、上記のケースでも条件付きまたは保障制限なしで加入できる可能性はあります。

バセドウ病の治療中である

バセドウ病の治療中の場合は、治療内容や症状の安定性、通院状況などを踏まえて審査が行われるため、生命保険への加入が難しくなることがあります。

保険会社から「加入不可」と判断されたときは、バセドウ病や合併症を保障対象から外して加入できないか確認してみましょう。

場合によっては、特定部位不担保や給付制限などの条件が付くものの、保障対象を限定することで保険に加入できることがあります。

バセドウ病により入院後1年が経過していない

バセドウ病により入院後1年が経過していない場合は、保険加入が難しくなる可能性があります。また、加入できた場合でも、給付金・保険金の額に制限が設けられたり、甲状腺に関連する疾病が保障対象外となったりするなど、特別な条件が付くことがあります。

今すぐ加入する必要がない場合は、医師の診断内容や経過を踏まえつつ、入院後一定期間(目安として1年程度)経過してから検討するのもよいかもしれません。選択できる生命保険が増える可能性があり、よりご自身に合う保険商品を見つけやすくなる傾向があります。

バセドウ病患者の保険加入時の注意点

バセドウ病の治療中あるいは罹患歴がある方は、保険に加入する際、次のポイントに注意しましょう。

  • 正確に告知をする
  • 保障範囲・内容を確認する
  • 再発・合併症を踏まえて保険期間を設定する

それぞれのポイントを解説します。

正確に告知をする

バセドウ病などの病気の罹患歴があると、保険加入が難しくなることがあります。また、加入できても保険料が割高になったり、保障が制限されたりするケースも少なくありません。

しかし、意図的に病気を隠したり、治療歴や医師の指摘について正確に告知しなかったりすると「告知義務違反」と判断される可能性があります。

その結果、保険に加入できても保障を受けられない可能性や契約が解除される可能性もあるため、必ず正確に告知しましょう。

保障範囲・内容を確認する

生命保険に加入する前に、保険会社から提示される保障範囲と内容を細部まで確認しておきましょう。特に注目したいのが「保障範囲にバセドウ病や合併症が含まれるか」という点です。

また、保障範囲にバセドウ病や合併症が含まれているときは、「特定部位不担保の有無や適用期間」、「給付金・保険金の上限」などを確認してください。希望する条件と合わないと考えられるときには、別の保険商品も検討してみましょう。

あわせてバセドウ病以外の疾病についての保障範囲・内容を確認してみましょう。他の病気の既往歴や治療歴によっては、保障が制限される可能性もあります。

保障範囲・内容に問題がない場合は、特約の内容も詳しく確認しましょう。特約に加入することで保険料が高くなる可能性はありますが、保障を充実できることもあります。本当に必要な保障を得るためにも、保険は慎重に加入しましょう。

再発・合併症を踏まえて保険期間を設定する

バセドウ病は、再発することや、経過中に合併症を伴うことがある疾病です。バセドウ病の罹患歴がある方はもちろんのこと、バセドウ病への備えを強化したい方は、再発や合併症を踏まえて保険期間を設定するようにしましょう。

保障が一生涯続く終身型保険なら、再発や合併症に備えやすくなります。また、終身型保険は加入時の保険料が一生涯適用される保険商品も多いため、早く加入すれば将来の保険料を抑えることにもつながります。

どの保険がご自身に合っているのか迷った場合は、ぜひ「auマネープラン相談」でファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。ご自身の状況や保険に対する希望を率直に話すことで、客観的なデータに基づき、保険についての説明を受けられます。

バセドウ病患者が利用できる公的制度

医療保険に加入して治療に備えるのも大切なことですが、民間保険とは別に、医療費の負担軽減に活用できる公的制度を知っておくことも大切です。バセドウ病などにより治療が長引いた場合や医療費が高額になった場合に利用できる公的制度には、次のものがあります。

  • 高額療養費制度
  • 傷病手当金
  • 障害年金制度
  • 医療費控除

それぞれの利用条件や支援内容を紹介します。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、所得と年齢に応じて定められる上限額を超えて医療費を支払ったときに、超過分が後日支給される、または事前の手続きにより窓口での支払いが限度額までに抑えられる制度です。

公的医療保険に加入しているすべての方が利用できます。例えば、69歳以下かつ年収約370万~770万円の方は、1ヶ月の医療費上限額が以下のように定められています。

69歳以下で年収約370万~770万円の場合の1ヶ月の医療費上限額

  • 80,100円+(医療費-267,000円)×1%

バセドウ病で手術を受け、医療費として1ヶ月に50万円かかった場合について考えてみましょう。3割負担の場合は、医療機関の窓口で15万円(50万円×30%)を支払います。

しかし、制度の適用を受けると、1ヶ月の医療費上限額は82,430円のため、後日67,570円が高額療養費として支給されます。

【条件】

  • 69歳以下で年収約370万~770万円
  • 医療費:50万円
  • 窓口で支払った金額:15万円


1ヶ月あたりの医療費上限額

  • 80,100円+(500,000円-267,000円)×1%=82,430円


還付される金額

  • 150,000円-82,430円=67,570円

制度が適用された場合、還付金を受け取るまでには少なくとも3ヶ月程度かかる点に注意が必要です。

バセドウ病の手術が予定されている場合などの高額な医療費が予想されるときには、あらかじめ加入中の保険で「限度額適用認定証」の交付を受けることも検討してみましょう。

窓口精算の際に「限度額適用認定証」を提示すると、医療費上限額を超える金額の支払いが不要となるため、還付請求の手続きを行う必要がありません。

また、一時的ではあっても高額な医療費を支払う必要がなくなるため、預貯金に余裕がない場合でも手術や入院といった医療費がかさみがちな治療を受けやすくなります。

参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

傷病手当金

傷病手当金とは、病気やケガの療養のために連続して3日休業したときに、4日目から手当金が支給される制度です。会社員や公務員などが加入する健康保険(被用者保険)の給付であり、原則として国民健康保険に加入しているフリーランスや個人事業主は対象外となります。

傷病手当金の制度を利用できる場合、以下の金額を手当金として受け取れます。支給開始日から最長で通算1年6ヶ月まで支給されるため、療養が長引くときにも役立つでしょう。

【傷病手当金の1日あたりの支給額】

支給開始日より前の12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した金額を30で割り、2/3倍した金額。支給開始日前の厚生年金保険加入期間が12ヶ月に満たないときは、次のいずれか低い額を30で割り、2/3倍して手当金を算出。

  • 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額平均額
  • 支給開始日が令和7年3月31日以前は30万円、令和7年4月1日以後は32万円

参考:協会けんぽ「傷病手当金」

障害年金制度

障害年金制度とは、病気やケガにより仕事が制限される場合に障害年金が支給される制度です。

国民年金被保険者の「障害基礎年金」と厚生年金被保険者の「障害厚生年金」があり、病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに加入していた保険が適用されます。ただし、年金保険料の納付状況によっては、年金を受け取れない可能性があります。

なお、障害基礎年金は、障害等級1級または2級と判定を受けた場合に受け取ることが可能です。一方、障害厚生年金は、障害等級1級から3級のいずれかに該当する場合に受け取れます。

また、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残った場合には、一定の要件を満たすと障害手当金(一時金)が支給されることがあります。

参考:日本年金機構「障害年金」

医療費控除

医療費控除とは、1年間に自己負担した医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等×5%)を超えた金額に所得控除が適用される制度です。

例えば、総所得金額等が200万円以上の方が、医療機関の窓口で年間50万円の医療費を支払い、保険金などによる補てんがない場合、40万円(50万円-10万円)の所得控除を受けられます。所得控除の金額が増えると課税所得額が減るため、結果として所得税や住民税の節税につながるでしょう。

ただし、医療費控除は自動的に適用される制度ではありません。適用を受けるためには確定申告が必要なため、確定申告期間中に忘れずに手続きをしてください。

医療費が高額になった場合の備えについてより詳しく知りたい方は、「auマネープラン相談」の無料相談をご利用ください。保険だけでなく貯蓄や税金、投資など、お金に関する幅広い疑問をファイナンシャルプランナーにご相談いただけます。

参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

バセドウ病と保険のよくある質問

バセドウ病は1,000人あたり0.2~3.2人が罹患しているとされ、決して珍しい病気ではありません。また、遺伝的要因もあると示唆されているため、血縁者にバセドウ病患者がいる場合はさらに罹患率が高くなると考えられます。

バセドウ病に備えるためにも、バセドウ病と保険の関係についての理解を深めておくことが重要です。よくある質問とその答えを紹介するので、ぜひ疑問解消の参考にしてください。

Q.バセドウ病で入院や手術をしていなくても保険加入は難しい?

バセドウ病と診断された場合、保険会社によっては、入院や手術をしていなくても、治療中であれば保障範囲が制限される可能性があります。

また、治療を開始していなくても「医師からバセドウ病の治療をすすめられた」または「バセドウ病と診断された」という事実があることで、保険加入が難しくなるケースもあります。

実際にバセドウ病と診断されても、すぐに入院や手術をするとは限りません。症状や医師の判断によっては、治療時期を見合わせたり、薬物療法を選択したりすることもあります。

診断後に保険の加入を検討する場合には、正しく告知をするのはもちろんのこと、複数の保険商品を比較するようにしましょう。

Q.バセドウ病が完治していれば条件なしで保険に加入できる?

バセドウ病の治療を受けて症状が安定している、または治療が終了している場合であっても、条件なしに保険に加入できるとは限りません。

保険加入時には「完治後何年経過しているか」を問われることもあるため、治療終了後や症状が安定した直後には加入が難しくなることがあります。

なお、完治後どの程度の年数を経過していれば保険加入に支障が生じないかについては、保険会社によって異なります。

数年経過していても、特定部位不担保が適用されたり、保険金・給付金の金額が制限されたりすることもあるため、複数の保険商品を比較して検討するようにしましょう。

Q.団体信用生命保険(団信)はバセドウ病治療中でも加入できる?

住宅ローンの契約をする際、団体信用生命保険(団信)の加入が条件となることがあります。団信に加入するには診査がありますが、バセドウ病の治療中や罹患歴がある場合、金融機関や団信の種類によっては加入できないことがあるため注意が必要です。

通常の団信に加入できない場合、引受基準緩和型団信(ワイド団信)をすすめられることがあります。ワイド団信は治療歴があっても加入しやすい保険ですが、通常の団信と比べると保険料が高額になることもあるため注意が必要です。

生命保険や住宅ローンなどのお金の問題について専門家に相談したい方は、ぜひ「auマネープラン相談」でファイナンシャルプランナーにご相談ください。無料でご利用いただけます。

治療が長引く疾患に備えて保険に加入しておこう

バセドウ病は治療が長引くことがある疾病です。また、再発や合併症のリスクもあるため、治療がいったん終了しても安心はできません。治療が長引く疾患に備えて、保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。

生命保険についてより詳しく知りたい方や、治療中の生活費などに備えたい方は、「auマネープラン相談」にご相談ください。ファイナンシャルプランナーによる無料相談をご提供していますので、お気軽にお問い合わせください。

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